中南米の最新情報

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武装集団の暴力エスカレートでハイチの治安悪化深刻化

 首相の辞任を求める武装集団の暴力行為でハイチ国内の治安は悪化の一途です。9日には首都ポルトープランスで警察と武装集団が衝突するなど情勢は一段と悪化し、米国は10日、大使館職員一部の撤退と警備の強化を発表しました。ハイチ政府はポルトープランスを含む地域に非常事態を宣言し、夜間外出禁止令を発令しています。

 ブラジルのメディアによると、ポルトープランスでは病院が攻撃され、食糧不足が深刻化、インフラの老朽化もあって、人道状況は危機に陥っています。悪化するハイチの治安について米国とケニア両国が会談、武装集団が求めるハイチ首相の辞任要求を受け、「自由で公正な選挙を実施する』ことを目的に、「多国籍安全保障支援ミッションを展開する」ことで一致しました。

 暴力がはびこるポルトープランスでは犯罪者が店を破壊したり、武装集団が大統領官邸、警察署、裁判所、刑務所を襲撃し、市民は行政事務所に避難所する騒ぎになっています。国際移住機関(IOM )は、首都は「包囲された都市」であり、市民は逃げようとしても武装集団に家族や友人と連絡を取ることを妨害され、閉じ込められた状態あると述べています。

 武装集団はポルトープランスへの道を封鎖し、IOM は「ハイチでは36万2,000人(その半数以上が未成年)が自宅から動けなくなっている」と説明、その数は年初から15%増加しているといいます。

 最新の報道によると、武装集団と国民の一部は、プエルトリコに滞在中のハイチ首相の辞任を要求しています。同首相は2月に退任する予定でしたが、新たな選挙が行われるまで野党も政権に協力、首相を続けることで合意しました。国連安全保障理事会は10月、ケニア主導の多国籍警察任務にゴーサインを与えましたが、こちらはケニアの国内事情で行き詰まっています。

 エルサルバドルのブケレ大統領は10日、ハイチの治安危機を「解決」することを申し出ました。同大統領は「我々はこの問題を解決できる。しかし、国連安全保障理事会の決議、開催国の同意、そして費用の全額負担が必要だ」としています。

ルーラ大統領の評価が最低水準

 ブラジルのメディアによると、大統領就任2年目に入ったルーラ大統領に対する評価が、ボルソナロ前大統領同時期と同じにまで低下しました。世論調査のIpec研究所が8日、調査結果を発表したもので、それによると、ルーラ大統領2年目の「優れている」「良い」という第1四半期の評価は33%でした。同時期のボルソナロ前大統領評価は34%でほぼ同じ結果でした。

 同時期のルーラ政権の評価は、1992年のコロール政権(14%)、1993年の第2期フランコ政権(21%)よりも優れ、1996年のカルドーゾ政権(41%%)、2008年の2期目のルーラ政権(58%)より悪くなっています。

 ルーラ大統領の評価は、2003年と2007年の1期目、2期目よりも低くなっています。また、2023年3月の調査と今回の調査を比較しても、肯定的な評価が41%から33%に8ポイント減少し、否定的な評価が24%から32%に増加しました。ルーラ大統領の3期目に対する評価は過去の調査と比べ最低水準にあります。

豪華客船従業員を盗撮で逮捕、起訴

 豪華客船のバスルームにカメラを設置したほか、船室のベッドの下に隠れて映像を記録していた従業員が3日、停泊していたフロリダ州フォートローダーデール市で逮捕され、児童ポルノ製造と所持の疑いで米国連邦裁判所に起訴されました。また従業員は盗撮の容疑でフロリダ州裁判所にも起訴されています。

 ブラジル・メディアの報道によると、逮捕された従業員はフィリピン人のアービン・ジョセフ・ミラソルで、昨年12月から同客船で働いていました。浴室でカメラを発見したのは女性の観光客で、カメラはシンクの下のカウンターに固定されていました。女性は船の責任者に連絡し、警備員がそれを確認しました。

 法廷文書によると、被告のスマートフォンメモリーカードからは、裸の女性を映した複数のビデオや児童への性的虐待の画像が発見されました。男は捜査​​員に「12月に船で働き始めて以来、バスルームに隠しカメラを設置していた」と供述しています。

 容疑者は「船室の居住者が誰であるかを調べてから、ビデオカメラを設置した。カメラを設置した以外に、客室に入り、宿泊客がシャワーを浴びているときにベッドの下に隠れ、そこからビデオを録画した」とも話しています。

 クルーズ会社ロイヤル・カリビアンはすでに男性を解雇し、「捜査に協力している」と発表しました。

ベネズエラは大統領選を7月に実施

 ベネズエラは大統領選挙を7月28日に設定しました。マドゥロ大統領はルーラ大統領)に対し、今年下半期に予定されている選挙では「野党との合意」で、国際監視員と監査が行われることになるだろうと語っていました。

 ブラジルのメディアによると、ベネズエラ全国選挙評議会は5日、政府と野党間の合意で7月28日に決まったと発表しました。同日は第53代大統領であるチャベス大統領の誕生日に当たります。これまでベネズエラの大統領選挙は12月に行われるのが恒例でした。

 昨年10月、ベネズエラ政府と野党は選挙に関して合意に達し、選挙の実施方法に関するガイドラインを定めた「バルバドス協定」に署名しました。協定では、大統領選の投票は2024年後半に行われることになっていました。

 3月1日のルーラ・マドゥロ会談で、ベネズエラ大統領選が取り上げられ、マドゥロ大統領は「2024年後半に行われる」と述べ、「バルバドス協定」の順守を約束していました。今回の発表を受け、ブラジル政府関係者は「一歩前進した」と安堵しています。

 しかし、1月に最高裁判所が主要野党政治家であるマリア・コリーナ・マチャド氏の資格を剥奪し、2月には活動家のロシオ・サン・ミゲル氏が逮捕されるなど、まだ予断を許さないところがあり、ブラジル政府はバルバドス協定の順守を求める文書を発表したりしています。

ブラジル人女性、インドで集団強姦被害

 ブラジルのメディアによると、インド警察は5日、ブラジル人観光客フェルナンダ・サントスさんへの集団強姦に関与した容疑者8人全員を逮捕しました。事件はインド北東部ジャルカンドナ州で起き、サントスさんは夫とともにバイクで国中を旅していて、同地でキャンプをしていた1日に襲われました。

 インド警察はこの事件に関する記者会見を行い、容疑者全員を逮捕したと発表し、国内で大きな衝撃を与えました。容疑者は犯行現場近くの警察に拘束されており、全員裁判にかけられます。ただ、容疑者8人の身元と国籍は不明のままです。

 インドでは、犯罪を犯した者は誰でも死刑に処される可能性があります。2012年に学生が強姦され死亡したことを受け、暴力的で衝撃的なレイプ事件の犯人には死刑が導入されました。

 強姦犯への死刑導入にも関わらずインドでは、依然として強姦事件が多発しています。インド政府によると、2022年には約3万1500人のレイプ被害者が出ています。ただ、ブラジルと比べるとレイプ被害者は少なく、ブラジル公安年鑑による2022年のブラジルでのレイプ被害者は74,930人に上っています。

アイルランドで発見されたアマゾンの魚

 アマゾンの魚がアイルランドの湖で発見され、話題になっています。ブラジルのメディア5日付によると、発見されたのはアマゾン原産で雑食性の淡水魚パクーです。発見場所はアイルランドの田園地帯にある湖で、首都ダブリンから140 kmほど離れています。ベテランの漁師が見つけました。

 アイルランド当局は「アマゾンの魚がどうしてここにいるのか」と調査を始め、アイルランド内陸漁業局も調査を始めています。当局は、「誰か飼育していた人が、湖に棄てたのではないか」と推理しています。

 アイルランドでは外来魚の養殖は特定の法律によって規制されており、内陸漁業局は「この魚の起源やどのようにして湖に到達したかについては、まだ明確な詳細はなく、民間の水槽から放流された可能性がある」と述べています。

エクアドル大統領候補殺害協力者の裁判開始

 ブラジルのメディアによると、エクアドルの司法長官事務所は28日、 2023年のエクアドル大統領選に立候補していたフェルナンド・ビジャビセンシオ氏殺害に関与したとして告訴された5人の容疑者を裁判にかけると発表しました。勾留されていたのは6人ですが、審問の後、容疑者の1人は釈放される事になりました。

 検察の調べによると、容疑者のうち2人は犯罪組織のリーダーでした。ビリャビセンシオ氏は元議員でジャーナリストでした。同氏は報道で汚職や政治家と組織犯罪とのつながりを暴露し、犯罪組織から絶えず脅迫の標的にされていました。

 同事件では銃撃犯は現場で死亡し、最初に拘留された容疑者13人のうち7人が刑務所内で殺害されました。検察は、裁判にかけられる5人は凶器、車両、キャンペーン用のTシャツや帽子の調達などの後方支援を担当し、殺人実行者と刑務所内の殺人命令者との仲介役を務めたとしています。

 被告の弁護士は「彼らを犯罪組織と結びつける証拠が不足している」と主張し、「計画に使用されたとされる携帯電話が被告のものであるという証拠を提示していない」と反論しています。

 事件の銃撃犯が現場で死亡したこともあり、殺害の動機はまだ解明されていません。検察は誰が殺害を指示したかという捜査を続けています。

ルーラ・マドゥロ会談で和平を模索

 ブラジルのメディアによると、ルーラ大統領は28日、カリブ諸島へ出発します。カリブ諸島訪問後、カリブ諸国共同体(カリコム)首脳会議出席のため、ガイアナへ移動します。

 首脳会議ではガイアナと紛争中で大統領選を控えているマドゥロ政権が議題の中心になると見られています。ベネズエラの同盟国であるブラジルにとって、この問題は大きな課題とも言え、ルーラ大統領はベネズエラマドゥロ大統領との会談で解決策を探ると見られます。

 ブラジル政府はベネズエラ大統領選の自由選挙を望んでおり、ガイアナ・エセキボ地域でのベネズエラの軍事行動を支持しないというシグナルを送っています。

 カトリック大学政治研究センターのベニグノ・アラルコン所長は「国内で弱体化したマドゥロ大統領は、常に外部紛争を通じて国を統一したいと考えているのかもしれない」と指摘し、それでも軍事行動は行わないだろうと見ています。しかし、「マドゥロ政権は国境での軍事駐留を強化している」と注意深く見守る必要があると言います。

 ベネズエラ中央大学(UCV)出身でベネズエラ選挙評議会(CNE)のルイス・サラマンカ氏は「ルーラ、コロンビアのペトロ両大統領が「マドゥロ大統領とチャベス派のエリート層を説得することで、和平交渉の道を切り開くのに役立つ可能性がある」と語り、「危機から平和的に抜け出す方法は、ブラジルとラテンアメリカにとって大きな関心事です。ルーラ氏はマドゥロ氏に助言できるかもしれない」とルーラ・マドゥロ会談に期待を寄せています。

日本の伝統神事「裸祭り」に女性も参加

 ロイター通信が配信した「1250年ぶりに女性を受け入れた日本の伝統」という記事を、ブラジルのメディアが27日に報じています。記事で伝統と記載しているのは愛知県の国府宮神社で行われている厄よけの伝統神事「裸祭り」のことで、ふんどし一つの男たちが神男に触れ、役を落とそうと揉み合う祭りです。

 記事は、「世界経済フォーラムジェンダーギャップ指数で昨年146カ国中125位にランクされた日本で、男たちの聖域に女性が参加するのは極めて珍しい」としています。もちろん女性が参加するといっても、ふんどし姿で男たちに混じって揉み合うというわけではなく、ふんどしの代わりに白い短パン、長めの法被を身にまとい、赤と白の布で包まれた長い竹竿を「わっしょい」の掛け声をかけながら神社まで運び奉納するものです。

 この祭は神社でお祈りする前に祭りで男たちが厄払いをするという習わしで、祭りには1200年間、男だけしか参加できませんでした。その禁が男優位社会の日本で破られたことになります。参加した女性はロイター通信に、「最も重要なことは、みんなにとって楽しい祭りがあることだと思う。神様もきっと喜んでくれると思う」と話しています。

 「男の祭りで女が何をするのか」「これは男の祭りなんだよ」と女性の参加を危ぶむ声もあったといいます。しかし、時の流れは祭りのあり方も変えました。岩手県・黒石寺の裸祭りは、厳寒の中で祭りに参加する若者がいなく、「今年が最後」と宣告されました。時代が変わったということのようです。

アルゼンチン大統領にIMFが「貧困層保護を忘れるな」

 国際通貨基金IMF )はアルゼンチンのハビエル・ミレイ大統領に対し、超自由主義経済改革を推進し財政赤字をゼロに削減しようとする政策で、貧しい階層の保護を忘れてはいけないと勧告しました。ブラジルのメディアによると、ギタ・ゴピナスIMF副局長が25日掲載の「ラ・ナシオン」紙で述べたものです。

 ゴピナス副局長は「財政改善策では、社会援助は削減されることなく、最貧困層に負担がかからないよう調整すべきだ」と強調しています。前日、アルゼンチン大統領は超保守党大会の演説で、社会主義の進歩をさせないよう求め、「社会正義の呼び声に流されないで欲しい」と述べていました。

 ミレイ大統領は演説で「社会主義者は我々の生活を台無しにする」と述べ、スペインの経済学者の言葉を引用、「社会正義は暴力的で不公平だ。つまり、それは公平でも社会的でも何でもない」と強調し、「規制を支持しない、市場の失敗という考えを支持しない、殺人的な中絶計画の推進を許さない、そして社会正義の呼び声に騙されるな 」と語りました。

 ミレイ政権発足の2カ月半の間に、254.2%のインフレ抑制のため通貨の50%切り下げ、価格の完全自由化、規制緩和を実施しています。信用機関は「インフレ率は今年半ばまでに一桁に低下する可能性があるが、さらにインフレ率を低下させ、その水準を維持することが求められる。それには少なくとも1年はかかるだろう」と語っています。