中南米の最新情報

NPOチャレンジブラジルが、ブラジルを中心に中南米のニュースをお届けします。

サンパウロ市でインフルエンザによる死亡者が急増

 サンパウロ市でインフルエンザによる死亡者が60%近く増加、同市役所は今週初めから市内の鉄道駅、地下鉄駅、バスターミナルにワクチン接種ポイントを設置し感染拡大防止に努めています。ブラジルメディアが報じています。

 サンパウロ市の調べでは、今年1月から5月までのインフルエンザによる重症急性呼吸器症候群SARS)による死亡者数が、2024年の同時期と比べ57.1%(昨年の77人から121人に)増加しています。サンパウロ市は感染防止のためワクチン接種キャンペーンを展開していますが、優先グループでもワクチン接種率はわずか40%と目標の90%を大きく下回っています。

 感染症専門医は「高齢者、6歳未満の子ども、妊婦などは重篤な症状に陥り安い」と特にワクチン接種を勧めています。

日伯の人材交流を促進

 ブラジルのルーラ大統領の訪日が27日に終わりました。今回の訪日で日伯関係はより強固になりました。両国は50以上に渡る「日伯アクションプラン」に゙署名、2年毎にお互いを訪問することで一致しました。
 アクションプランの中には東京ーサンパウロ間の直通航空機の再開促進や若い世代に人気のある「ワーキングホリデー」締結へ向けての交渉といった日伯間の人物交流促進策なども謳われています。

メキシコ大統領がトランプ氏に反論

 次期米国大統領のトランプ氏が世界最大のメキシコ湾の名称をアメリカ湾に変更しようと提案した件で、メキシコ大統領が大々的に反論しました。ブラジルでの報道によると、メキシコのクラウディア・シェインバウム大統領は8日、トランプ氏の発言に反論、「米国をメキシコ・アメリカに改名してはどうか」と逆に提案しました。

 トランプ氏はこの他にも、「グリーンランドパナマ運河を占領するための軍事力の行使を排除しない」とか、「経済的圧力でカナダを併合する」などと扇動的な発言を行っています。こうした一連のトランプ発言にメキシコ大統領は記者会見で、「当然、メキシコ湾は国際的にも国連にも認められている。しかし、なぜ(米国を)『メキシコ系アメリカ』と呼ばないのだろうか?素敵な名前だろう?それではそう呼ぼう」と皮肉りました。

 メキシコ大統領府の政治顧問アルフォンソ・スアレス・デル・レアル氏も、「メキシコ湾の名前はアメリカが存在する前からの歴史的なもので国際機関に登録されており、国際機関はメキシコ湾の名前を航海上の参考文献とみなしている」と話しています。

アルゼンチン・ミレイ政権1年の功罪

 アルゼンチンがハビエル・ミレイ政権になって1年になりますが、インフレは低下したものの貧困の増加が目立っています。ブラジルのメディアが10日付で報じています。

 報道によると、インフレ率は2023年12月の25%から2024年10月の2.7%に減速しました。その反動として購買力が低下、消費は2024年には12.5%減少すると見られています。また、貧困率は41.7%から2024年7月には52.9%に上昇し、最近では49.9%に落ち着いています。

 ミレイ大統領は就任にあたり、政治と経済の根本的な変革を宣言しました。中央銀行を閉鎖し、ペソを廃止して国家通貨としてドルを導入するというものでした。ミレイ政権の支持率は56%と高めですが、攻撃的な政策が71%の人に拒否され、彼の発言を信じている人はわずか28%になっています。

 議会でミレイ派は少数派で、提出した法案がなかなか承認されません。提案された600件の法案で承認されたのは200件のみでした。発言も大きく変わり、選挙中にはフランシスコ教皇を「低能者」と呼び攻撃していたのに態度を変え訪問したり、断行すると息巻いていた中国への訪問も計画しています。これでは国民がミレイ大統領の発言を信じられないのも当然かも知れません。

犯罪組織は合法ビジネスでも荒稼ぎ

 ブラジル公安は6日と、犯罪組織は2022年にタバコ、金、燃料、飲料など合法取引によって少なくとも1,468億レアルを稼いだという調査結果を発表しました。ブラジルのメディアが報じています。

 発表によると、大手の犯罪組織プリメイロ・コマンド・ダ・キャピタル(PCC)、コマンド・ヴェルメーリョの2組織は「麻薬密売だけでなく、他の活動でもより多くの収益を上げている」と指摘、合法的なビジネスによっても利益を上げているとしています。

 調査で明らかにされている取扱商品はタバコ(103億レアル)、金(182億レアル)、燃料など( 614億レアル)、飲み物( 569億レアル)などです。これらの製品のブラジル市場における占拠率は14.7% に相当し、公安は「日常生活に影響を与え、経済を混乱させている」と強調しています。犯罪組織の販売でなければ、これらの商品の販売で収益の20%程度は税収になっていたとしています。

ブラジルには1万2400ものファベーラ

 ブラジル地理統計研究所(IBGE)が8日発表した2022年国勢調査のデータによると、ブラジルには合計1万2400のファベーラ(貧民地区)があります。9日付のブラジルメディアが報じたもので、ファベーラには全人口の 8.1% に相当する1,640万人が生活していると言います。2010年の調査での割合は6%でしたので、ファベーラ居住者は増加傾向にあるようです。

 ファベーラは南東部と北東部の沿岸部、農村部、アマゾン川流域に多く存在しています。最も住民の多いファベーラはリオデジャネイロの南地区にあるロシーニャで、72,000人の住民が住んでいます。2番目は連邦直轄区にあるソル・ナシェンテで、住民数は7万9千人に上ります。

 2010 年以降、最も人口が増加したファベーラはサンパウロのパライソポリスで、住民が42,800 人から58,000 人に増加し国内で3番目に大きなファベーラになりました。調査では、ベレン市とマナウス市は人口の半分以上がファベーラに住んでいるとしています。

 IBGEはファベーラの特徴として宗教寺院が多く、医療施設が少ないと指摘しています。

どうなる? 伯米関係

 ブラジルのルーラ大統領は米大統領選で民主党のカマラ・ハリス氏を支持する意向を表明していましたが、共和党ドナルド・トランプ氏が勝利したことで、「勝利は国民の声であり、尊重されなければない」とトランプ氏の勝利を祝福しました。

 ブラジルのメディア6日付によると、ルーラ大統領は「新政府の幸運と成功を祈っている」と述べ、世界はより多くの平和、発展、繁栄を得るために対話と共同作業を必要としているとして対話の必要性を強調しました。ジェラルド・アルクミン副大統領もトランプ氏の勝利を祝福し、「今後4年間で両国間のパートナーシップが拡大することを期待している」と述べています。

 トランプ新政権はより保護主義的な経済政策を採用する可能性があり、ブラジルにとって中国に次ぐ第2位の貿易相手国である米国の経済政策の変更は不利に働く可能性が否定できません。そして「トランプ氏の当選は世界中の民主主義分野への警告だ」(労働者党党首のグライシ・ホフマン連邦副議員)と述べ、「私たちは我が国の民主主義の分野を強化しなければならない」と指摘しています。

 こうした政界の反応に対しブラジルの外交筋は「ルーラ政権は現実主義に重点を置き、両国は良好な関係を維持する必要がある」と述べ、ルーラ大統領のカマラ氏を支持する最近の発言は、ルーラ氏とトランプ氏の将来の関係を複雑にしたと論評しています。

ウルグアイ大統領選は左派と中道右派の戦い

 南米のウルグアイで27日、大統領選挙が行われています。ブラジルメディアによると、左派でムヒカ元大統領系のヤマンドゥ・オルシ氏(歴史教師、57歳)が優勢と見られますが、当選に必要な票は獲得できず、決選投票になると見られています。

 世論調査では、オルシ氏は41%から47%の票を獲得すると見られ、2番手にはラカレ・プウ現大統領(中道右派)の秘書官を努めたアルバロ・デルガド氏(獣医師、55歳)が20%から25%を獲得する見込みで、両候補で決選投票が行われそうです。

パンタナールとアマゾンの火災が大気に悪影響

 欧州コペルニクス天文台の科学者らが23日、「パンタナールとアマゾンはほぼ20年で最悪の火災に直面し、南アメリカの大部分で大気の質に影響を与えている」と発表しました。

 パンタナールがあるアマゾナス州マトグロッソ・ド・スル州などは、天文台による22年間の監視で二酸化炭素の最高排出量を記録し、今年はそれぞれ28メガトンと15メガトンが排出されたとしています。

 またボリビアでは、火災による炭素排出量が同天文台データベースの年間最高値に達し、9月中旬までに合計76メガトンを排出、これまでの記録だった2010年を上回りました。ブラジル全土でも、2024 年の累積排出量は9月19日までに183 メガトンの二酸化炭素 (CO2 トン)に達し、記録的な年となっています。

 天文台の科学者マーク・パリントン氏は「2024年の南米の火災は、特にアマゾンとパンタナールで平均を大きく上回った。発生した煙は、火災が発生した場所をはるかに超えた地域、さらには大西洋を越えた地域にも影響を与えている」と話しています。

混迷深まるベネズエラの政界

 ベネズエラの大統領選は28日に行われたが、政権側は現大統領のニコラス・マドゥロ氏の当選を主張し、野党側はエジムンドゴンサレス・ウルティアの当選を主張、同国の政治混乱は収まる気配がありません。米国はすでに対戦相手のエジムンドゴンサレス・ウルティアの勝利を認めていますが、政権は対話を無視して急進化し、反対派への迫害を強化しています。

 両派対立の解決策としてブラジル大統領府の国際問題顧問セルソ・アモリン氏が新聞「バロール・エコノミコ」に「再選挙の実施」を提案しましたが、両派ともに再選挙の実施を拒否しています。政権側は当初から再選挙は不要としており、野党側も「政権の条件のもとでの再選挙は意味が無い」と同例案を拒否しています。混迷の度は深まるばかりです。

 大統領選の結果について国連の専門家は「選挙過程における政府の不平等を明記し、野党側が提出した議事録には公平性があった」という報告書を発表しています。この報告書についてマドゥロ政権は「ゴミの報告書」と無視しています。