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ブラジル大統領、親子でCPI批判

 ブラジルのメディアによると、アラゴアス州を訪問中のボルソナロ大統領は13日、支援者を前にコロナ禍議会調査委員会(CPI)が行っていることは「犯罪に等しい」と同委員会の活動を非難しました。委員会の調査報告者レナン・カルヘイロス上院議員はこのコメントに反発、「大統領のコメントは、明確な挑発だ」と述べました。

 大統領が口にした「犯罪者」という表現は、12日に大統領の息子フラヴィオ・ボルソナロ上院議員がレナン報告者に向けた言葉です。それを大統領もなぞったわけで、集まった大統領支援者からは「レナンはバガブンド(性格破綻者、馬鹿者)」という声が上がりました。この声を聞いた大統領は聴衆に向かって手を振りました。

 この日も大統領は、マスク無しで大勢の聴衆の前に現れ、「群衆の前、公共の広場ではマスク着用」という州法を無視していました。

上院CPI、大統領側近を告発

 ブラジルのメディアによると、コロナ禍議会調査委員会(CPI)は12日、大統領側近のファビオ・ワジンガルテン元通信長官の証言が虚偽だったとして、連邦検察庁に調査を依頼しました。同委員会に呼ばれた証人は事実のみを供述する義務があります。

 また、マルセロ・ケイロガ保健大臣についても、6日にCPIで証言したクロロキン、集団免疫、早期治療などについての内容に問題があるとして、13日にもリコールをするかどうかの採決を行う予定です。保健大臣はボルソナロ大統領を擁護し、パンデミックに関連する県では意見陳述を避けました。

Anvisa長官が「大統領の考えに与しない」と表明

 ブラジルのメディアによると、国家衛生監督庁(Anvisa)のバラ・トーレス長官は11日、上院のコロナ禍議会調査委員会(CPI)で証言し、コロナウイルス抑制策に関してボルソナロ大統領と意見の相違があったことを明らかにしました。同長官はCPIで大統領と反対の立場を表明した4人目の証言者です。

 トーレス長官は大統領とは友好的であるとしつつも、マスク使用を否定したり、集会を行ったり、ワクチン接種を批判したりする大統領には同調しないと述べました。「大統領はコロナ治療薬にクロロキンを加えるため説明文書の変更を求めたが、同薬は科学的にに効果が無いことが証明されており、その要求を拒否した」と言明しました。続けて、「大統領との政治デモに参加したことを後悔し、今は参加していない」とも述べました。

 また。議員の「大統領が長官の証言に不満を抱く可能性があるが、それでも態度を変えないか」という質問にトーレス長官は、「大統領の行動は私とは異なる」と述べました。トーレス氏の長官就任は、ボルソナロ大統領の指名によることから、この質問が行われたと思われます。

 ワクチンについての諮問も行われました。議員から「大統領は中国製ワクチンは購入しない。中には同ワクチンを接種するとワニになるというものもあった。こうした話の影響はあったのか」と質問しました。トーレス長官は「ワクチンは不可欠で、反対する理由が判らない。このような考えで国民を導くべきではない」と指摘しました。

11日のCPIでアンビサ長官が証言

 ブラジルのメディアによると、6日に予定されていた国家衛生監督庁(アンビサ)のアントニオ・バラ・トーレス長官が11日、上院のコロナ禍議会調査委員会(CPI)で証言します。同長官は、連邦政府がクロロキンの添付文書を変更するよう通達した件で証言するとみられます。

 CPIでは先にマンデッタ、タイシ両元保健大臣が、連邦政府はクロロキンの使用を拡大する方針だったと証言し、マンデッタ氏は「政府はアンビサに添付文書を変更すよう提案したが拒否された」と述べました。野党議員はこの点をトーレス長官に確認すると思われます。同委員会では質問に対し沈黙は許されていないため、事実が明らかにされると期待されています。  

 このほかにトーレス長官は、ロシアのワクチン「スプートニクV」の認可を拒否したことも質問されるとみられます。拒否理由をアンビサは、「ワクチンに使用されているアデノウイルスの技術報告書が不足していた」としています。野党はこの点で、政治的圧力がなかったかどうかを質すとみられます。

麻薬所持で逮捕された男の華麗な遍歴

 ブラジルのメディアによると、警察は8日、サンパウロ州プレジデンテプルデンテ市でラファエル・マルケス・ルスヴァルギ(36歳)をマリファナ、コカイン、弾薬を違法に所持していたとして逮捕しました。ラファエルは1年前、ウクライナでテロ容疑で逮捕されましたが、仮釈放され、1カ月前にブラジルに戻っていました。

 調べによると、ラファエルは住んでいたプレジデンテプルデンテの家に、マリファナ25キログラム、コカイン、9mm口径の弾薬350個を隠し持っていました。警察はそれらと現金、数枚のパスポート、精密な秤、出所不明のオートバイを押収しました。ラファエルは警察に、「数週間前、サンパウロ市で仕事を探しているとき、友人の紹介で会ったこともない人に月額 3,000レアルで麻薬と弾薬の保管を頼まれた」と供述しています。

 逮捕されたのはラファエルと一緒にいた25歳の少年の2人でしたが、少年はコカイン4グラムを購入するため同行していたと判り、釈放されました。逮捕のきっかけは警邏中の警察官が2人の行動に不審を覚え職務質問したところ、答えた身元がでたらめで、問い詰められたラファエルは、サンパウロ州ジュンディアイの生まれで、頼まれて弾薬や麻薬を隠し持っていたことを白状しました。

 ラファエルが語る彼のプロフィールは実に変化に富んでいます。
 彼はハンガリー出身の家庭に4人の兄弟の長男として生まれました。母親は教師、父親はミナスジェライス州でビジネスマンをしており、両親は離れて生活しています。10代の頃、農学技術者コースを受講していました。
 ここから変化に富んだ生活が続きます。18歳のとき、フランスの外人部隊に参加し、そこで3年間勤務しました。その後ブラジルに戻り、サンパウロ憲兵隊に入隊しました。しかし、直ぐに憲兵隊を辞め、今度は医学を勉強するためロシアに行き(2010年)、ロシア軍に加わろうとしましたが果たせず、コロンビアに行き、コロンビア革命軍に加わりました。ここも長続きせず、ブラジルに戻り,サンパウロ州インダイアツーバのコンピューター会社に就職しました。しかし、2014年6月に反ワールドカップ運動に参加、警察に逮捕されたことで首になりました。

ブラジルのコロナ死者、42万人

 ブラジルのメディアコンソーシアム8日の新型コロナ状況調査によると、累積死者が421,484人、累積感染者が15,150,628人を記録しました。この日の新規死亡者は2,091人、新規感染者は63,268人が確認されました。国内メディアの報道です。

 死者、感染者ともに14日前と比較して数字は増加傾向になく、安定を示しています。この日に死亡者が増加したのはロライマ州のみで、リオデジャネイロ州サンパウロ州は横ばいでした。

 死者、感染者とも安定傾向にあるとは言え、数字が大幅な減少を示しているわけではなく、政府は高止まりの状態だと警戒を緩めていません。

 予防接種は8日現在、人口の16.64%(35,235,949人)まで進みました。2回目まで接種済みの人も8.37%(17,715,680人)まで済んでいます。

上院でクロロキン推進者の特定急ぐ

 ブラジルのメディア7日付けによると、元・現保健大臣3人の事情聴取を終えたコロナ禍議会調査委員会(CPI)は、マラリアの治療薬クロロキンをコロナ治療薬として推奨した人物の特定を急いでいます。そのためCPIは6日、クロロキンの生産、流通、およびコストに関する情報を開示するよう陸軍指令部、オズワルド・クルス財団(フィオクルス)に要求しました。

 CPIはクロロキンの使用を広めた責任ある政府関係者の特定を急いでおり、質問状を送ったフィオクルスからは「使用の決定は保健省にある。クロロキンはマラリア治療を目的としており、コロナ治療に使用するのは問題」と回答してきました。

 同委員会はまた、クロロキンの生産と流通に関係した陸軍化学研究所にも情報を求めました。要求されたのは、生産と流通、薬の日付、目的地の詳細です。まだ回答はありません。

 こうしたCPIの動きにボルソナロ大統領は敏感に反応、7日、ソーシャルメディアに投稿、早期治療に関するCPIの異端審問官に回答しました。「患者は医師と相談し、治療薬を選択する余地があった」と主張、CPIでの証言のような「押しつけではなかった」としています。

サンパウロ市長の状態は安定

 ブラジルのメディアによると、サンパウロ市のブルーノ・コバス市長は2日に再入院し癌と闘っていますが、5日に消化器内視鏡検査で胃内部に出血が認められ部位に放射線療法が行われ、6日には止血を確認、市長の状態は安定してきました。

 市長治療チームの医師は、今のところ退院は未定としています。医師は「出血は一回限りのことで、癌の悪化ではなく、感染症または他の不測の事態で起きた可能性が高い」と語っています。

 いったん集中治療室に移されていた市長は、経過が良好なことから一般病棟に戻りました。

ブラジル大統領がクロロキンを全面擁護

 ブラジルのメディアによると、ボルソナロ大統領は5日、マンデッタ元保健相がコロナ禍議会調査委員会(CPI)で証言した「科学的に根拠のないクロロキンを治療薬として推奨した」と述べたことに、「同薬を否定するのは悪党だ」と、大統領府の式典のスピーチで激烈な反論をしました。

 大統領は「新型コロナに感染した私は、クロロキンで早期治療し全快した」と同薬が早期治療に有効であると強調し、「クロロキンの代替薬もないのに、それに反対するのは悪党のすることだ」と決めつけました。

 大統領はまた、「CPIは今年初めのマナウスでの医療崩壊の際にクロロキンを大量に使用した結果を調査するべきだ」と述べ、「パンデミックの最中に同薬の生産と流通に投資しようとした政府に反対した人々は、その理由を説明すべきだ」と語りました

 さらに大統領はスピーチで、新しいコロナウイルスは実験室で生まれたのではないかとほのめかし、「私たちは新しい科学戦争に直面しているのではないか」と疑問を投げかけました。

 この件については世界保健機関(WHO)が3月、「実験室から漏れたウイルスが、人間を襲った可能性は非常に低い」と研究結果を発表しています。

ブラジルのコロナ死者、感染者は安定傾向

 ブラジルのメディアコンソーシアム4日の新型コロナ状況調査によると、累積死亡者が411,854人、累積感染者が14,860,812人を記録しました。国内での報道です。

 新規の死亡者は3,025人で、過去7日間の死亡者の移動平均は2,361人に達しました。14日前の平均と比べると15%減少しています。また、感染者の新規増加は69,378人で、過去7日間の移動平均は、1日あたり59,182人でした。14日前と比べ、7%減少しています。

 死亡数増加しているのはパライーバ州だけで、リオデジャネイロ州は横ばい、サンパウロ州パラナ州は低下しました。