中南米の最新情報

NPOチャレンジブラジルが、ブラジルを中心に中南米のニュースをお届けします。

ルーラ、ゼレンスキー両大統領が平和構築で会談

 ブラジルのメディアによると、ルーラ大統領は20日午後、ニューヨークでウクライナのゼレンスキー大統領と約1時間10分にわたって会談しました。会談では、平和構築と国家間の対話維持の重要性が強調され、ルーラ大統領はツイッターで、「平和構築への道のりの重要性について良い会話ができた」と述べました。

 ウクライナ戦争について両国は、数カ月間に渡って意見が異なる立場を取り、直接対面しての会談は初めてでした。ウクライナのクレバ外相は、「今回の会談は温かく誠実であり、両国が自国の立場を理解した」と述べ、「これは重要な瞬間だった」と語りました。

 ブラジル労働者党の中には、ロシアによる軍事侵略を批判している人もいますが、米国や欧州連合とは異なり、ウクライナへの武器供給には同意していません。ルーラ大統領は国連総会でロシアの武力侵攻を直接批判せず、 「ウクライナ戦争は、国連憲章の目的と原則を浸透させることができない私たちの無力さを露呈させた」と演説するに留まりました。

 これに対してゼレンスキー大統領は、「侵略者を倒すために団結する必要がある」と主張し、ウクライナ戦争の終結には「領土維持と全領土の主権確立が前提」と繰り返しました。バイデン米大統領はゼレンスキー大統領と同様の口調で、「国と同盟国は主権と領土一体性を守る勇敢なウクライナ国民を引き続き支援する」と述べました。

 ロシアはブラジルにとって戦略的パートナーであり、両国は中国、インド、南アフリカと並ぶBRICSの一員でもあり、ブラジル農業用肥料の重要な供給国ということもあって、ストレートにロシアを批判できない立場でもあります。このためルーラ政権も発足以来、ロシア軍のウクライナ領土への軍事侵攻に対して寛大とも思える立場を取り、西側諸国やゼレンスキー大統領から批判されていました。