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ブラジルの新幹線が「失速」、完成はW杯後?

 リオ、サンパウロカンピーナス間500㎞を結ぶ高速鉄道計画について、連邦政府は3日、建設予算をこれまでの7割に抑えた「低予算モデル」を発表し、運行開始時期についても当初の2014年から「最長で6年後」と大幅に修正したため、ワールドカップに間に合わない可能性が出てきました。
 当初の計画では、昨年末に業者を選定し、今年度中には着工の予定でしたが、予算の都合がつかず遅れ、未だに入札も行なわれていない状態。今回、政府は苦肉の策として、当初予算の3割をカットした346億レアル(約1兆7000億円)の「低予算モデル」にすることで、計画の進捗を図りたいとしています。
 計画の遅れは、予算の問題だけでなく、環境省による環境ライセンスの認可の遅れも指摘されています。鉄道敷設周辺地域は住宅や森林が多く、人々の住環境や森林伐採を考慮、環境省は慎重な調査を行ない、なかなか結論が出ません。予算削減、環境調査の遅れに伴い建設計画もどんどん遅れ、当初予定していたサッカーのワールドカップ(W杯)ブラジル開催の2014年に合わせた運行開始予定は、不可能という見方が大半です。
 これに対し国家陸路輸送庁のフィゲイレド長官は、計画は予算審議と平行して進めるとしており、10月に入札を実施し、来年1月には指定業者との契約を締結、その3か月後には着工することに変わりは無いと話しています。もっとも運行開始時期については、「3年後に完成すればいいが、最長では6年後になる」と述べ、W杯に間に合わない可能性については、「鉄道は国のため、W杯のために作るのではない」と建前論で躱わしました。