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高速鉄道の入札再延期

 地元での報道によると、ブラジル政府は12日、サンパウロ州とリオ州を結ぶ高速鉄道(TAV)建設プロジェクトで、16日に予定していた入札を少なくとも1年延期すると発表しました。延期理由は応札者が少なかったためです。ところがこれは表面的な理由で、2007年に行われたサンパウロ郊外電車(CPTM)の入札時に当時のサンパウロ州知事だったジョゼ・セーラ氏(社会民主党=PSDB)がシーメンス社に談合結成を提案した疑いが大々的に報道されたことが影響しているといった憶測もあります。
 高速鉄道への投資には事業リスクを懸念する企業連合(コンソーシアム)が多く、入札はこれまで3回延期されています。度々の延期にも関わらずセザル・ボルジェス運輸相は「20年までに運行を開始する計画に変更はない」としています。
 今回の入札延期を受けて、来年10月の大統領選で計画を継続するかどうかが争点になる可能性も出てきました。現ジルマ政権(労働者党=PT)にとって、高速鉄道建設の争点化は有利になるとみられており、延期は策略的という非難も出ています。
 今回の入札にはフランスの企業連合のみが応札の意向を示し、ドイツとスペインの企業連合は検討に時間が必要だとして延期を申請していました。ブラジル政府は、競争のない状態での入札を回避する目的で延期を決定したと説明しています。入札を先延ばしすることで、一時は応札に積極的だったものの1回目の入札延期以降消極的になっている韓国の企業連合が入札参加を前向きに検討する可能性もあるとしています。
 スペインの企業連合は9日、延期になった場合は必ず応札すると発表していました。