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ベネズエラとガイアナ間で対立激化

 ベネズエラ政府がガイアナのエセキボ地域を併合する法律に署名したことで、ガイアナ政府はそれは認められないと発表しました。ブラジルのメディアによると、ベネズエラマドゥロ政権は3日にエセキボ併合を規定する法律を公布し、ガイアナ政府は4日、「併合を認めない」と反発しました。

 ガイアナ政府は、「ベネズエラ国際法の最も基本的な原則に違反している」という声明を出し、「ガイアナベネズエラ両国大統領がブラジルの仲介で2023年12月に開催した二国間会談で署名した文書に矛盾している」と非難、「ガイアナ政府は、主権領土のいかなる部分の併合、押収、占領も許さない」と主張しています。

 ベネズエラは、ガイアナの3分の2を占めるエセキボ地域は自国の領土と主張し、昨年末にベネズエラ政府が併合の是非を問う国民投票を実施、結果は同地域の併合を承認するものでした。これで両国間の緊張が一気に高まり、一触即発の状態になり、事態緩和のためにブラジルが乗り出し、昨年12月の紛争の激化をもたらす言動を自制する、国際法に従って紛争を解決するといった趣旨の文書に両国は署名しました。

 今回のマドゥロ大統領の「ガイアナの領土にベネズエラの州を創設する法律」への署名を、ガイアナ政府は「国際法違反」と反発しています。マドゥロ政権がエセキボ地域に執着するのは、2015年にこの地域で石油が発見されたからで、それまでは深い森林が生い茂る場所で見向きもされていませんでした。

 ベネズエラは、「ガイアナが英国から独立する以前の1966年に、英国との間で締結された協定に支配権があると記載されている」と主張しています。これにガイアナは、現在の国境が確立された1899年のパリでの報告書で、ガイアナの領土が明記されていると主張しています。