ブラジルのメディアによると、オランダのハーグに本拠を置く国際司法裁判所は1日、ベネズエラがガイアナの領土の一部であるエセキボ地域を併合しようとしていることに「併合はできない」との判決を下しました。裁判官の決定は、ガイアナが支配する領土の帰属を住民投票で決めようとするベネズエラ政府の計画を否定したものです。
マドゥロ大統領は11月8日、「ガイアナ・エセキバの復興は国民の使命であり、国の使命だ」と述べ、約2世紀にわたる主張を繰り返しました。現在、マドゥロ政権はベネズエラ領土の一部としてギアナ・エセキバ州を創設し、住民にベネズエラ市民権を付与するという計画を進めています。
このための方法として同地域の住民に市民権与えることに賛成かどうかをベネズエラ国民の考えを問うとして、国民投票を提案しています。この国民投票は国際法的有効性を欠くと国際司法裁判所は決定しています。判決は、ガイアナが「国民投票は国家の存立に対する脅威」として住民投票中止を主張しましたが、投票の実施までは禁じていません。ただ、「ガイアナが管理・支配する係争地の状況を変えるいかなる行動も控えるように」と命じています。
ガイアナは、この地域について議論すべきことは何もないと述べ、国民に対し、「隣国での出来事に怖がることはない」と呼びかけています。
問題のギアナ・エセキバとして知られるエセキボは南アメリカ北部のエセキボ川の西にある地域で、面積は159,000平方キロメートル。ガイアナを構成する10の地域のうち6つがあり、80万人の住民の3分の1が住んでいます。そしてダイヤモンド、金、銅、鉄、ボーキサイト、アルミニウムなどの資源が多く埋蔵し、係争地域の領海には莫大な石油資源もあるという場所です。
豊かな天然資源で人口80万人のガイアナは世界でも急速に成長している国で、GDPは2022年には57.8%拡大し、今年は25%の成長が見込まれています。2015年に沿岸地域で数十の石油鉱床が発見され始めたことから、ベネズエラとガイアナの間の緊張は徐々にエスカレートしてきました。ガイアナは高官が米国を訪問、ガイアナ領内に外国軍事基地を設置する可能性に言及するまでになっています。