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ブラジル大統領が訪中、両国関係の修復目的

 ブラジルのメディアによると、ルーラ大統領は11日、中国訪問に旅立ちます。12日から中国に滞在し、その間習近平主席との首脳会談も予定されています。

 今回の訪中は、ボルソナロ前政権時代に冷え切った対中関係の修復を主目的にしています。中国は、ブラジルの製品を最も多く輸入している国であり、ブラジル外交の新局面を中国に理解させることで関係改善を目指します。

 ボルソナロ政権時代は外務省でも反中国的な言動が目立ちました。ボルソナロ氏自身もパンデミックの際に「中国からはワクチンを買わない」と発言し中国を敵視していました。ボルソナロ氏の息子のエドアルド氏も「コロナウイルスパンデミックは中国が悪い」と発言するなど、親子で反中国的態度でした。

 米国は、今回の訪中で中国がブラジルでの存在感を高めることに懸念を表明していますが、ルーラ大統領は中国べったりの政策を取るのではなく、米国、中国との等距離外交を模索していると言われます。

 サンパウロ大学国際関係研究所のタン教授は、「今回の訪問は、対話と良好な関係構築のみではなく、ブラジルは技術・経済協力の新しい具体的な協定に関心を見せている。さらに中国がリードするBRICsグループの中でスペースを確保し、世界貿易機関でも声を上げるなど、国際社会でブラジルの位置向上を図る機会でもある」と説明します。

 また、リオグランデ・ド・スル連邦大学国際関係学のシルバ教授は「前政権時代に中国はある種の不信感を持ち、さまざまな分野のプロジェクトもスピードが落ちていた」と指摘し、今回の訪中で関係修復が行われると予測しています。