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フランスはベネズエラのエネルギー資源に着目

 ブラジルのメディアによると、エジプトで開催中のCOP27に出席しているフランスのエマニエル・マクロン大統領は7日、ベネズエラの正当な大統領として認めていないニコラス・マドゥロ氏と廊下で、短い会話を交わしました。マクロン大統領は「もっと話ができるようになれば、そして地域のために有益な二国間の仕事ができるようになれば、私は嬉しい」と述べたとされています。

 これに対しマドゥロ大統領は「フランスは積極的な役割を果たす必要がある」と述べ、翌8日、「ベネズエラはヨーロッパ市場や世界市場向けに石油やガスを生産したい」と語り、「フランスの石油会社を受け入れる用意がある」とコメントしました。

 ベネズエラはワシントン主導の孤立政策の中で石油の輸出を続け、金融制裁をかわすためにロシアとの関係を強めています。フランスは、ロシアのウクライナ侵攻によるエネルギー危機を懸念し、6月27日、ドイツで開催されたG7サミットで、イランやベネズエラの石油を念頭に「石油供給源の多様化」を訴えました。

 フランスを始め50カ国以上の国は、野党が不正と決めつけた2018年のマドゥロ氏の再選を認めていなく、野党指導者のフアン・グアイドー氏を大統領として支持しています。しかし、ヨーロッパでのグアイドー氏への支持勢力に勢いがなくなり、フランスもマドゥロ大統領と対話のチャンネルを閉ざしていません。

 マクロン大統領は、コロンビア初の左派大統領となり、ボゴタとカラカスの3年間の対立を解消したグスタボ・ペトロ大統領もパリに迎える予定です。マクロン氏の外交政策は「バランシング・パワー」を目指しており、マドゥロ大統領とのチャンネルを打ち切らないのもその一環です。