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チリで新憲法案が否決される

 ブラジルのメディアによると、チリの国民は4日、国民投票で不支持61.87%、支持38.13%でボリック大統領に支持された新憲法案を否決しました。これで1973年から1980年まで続いたアウグスト・ピノチェト独裁政権時代からの憲法が、引き続き有効になりました。

 現在の憲法は1980年に制定され、自由主義的な経済政策が柱になっています。国は国民の充実した生活のために「社会的条件の整備に貢献」しなければならないが、いかなる事業活動にも参加してはいけないと規定しています。

 一方、新憲法案は現行憲法自由主義的性格を弱め、市場経済は維持するものの、チリを「社会的・民主的法治国家」とし、国民の権利を保障するために財やサービスを提供しなければならないと、国家に大きな役割を与えています。その他、新憲法案には上院の廃止、男女平等、先住民の自治権などが謳われていました。

 この問題では国内を二分して議論が戦わされ、大方の予想は不支持派、支持派どちらが勝つにしても僅差と見られていましたが、結果は大差で新憲法は否決されました。今後、新憲法の修正案や新しい法案が提出されるなどの政治的な動きが予想されています。ボリック大統領は社会の分断を克服するため、「より民主的な」運動で「国民の団結」を呼びかけています。