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ペルー新政権の混乱収束案を議会が否決

 ブラジルのメディアによると、ペルー議会は16日、2026年4月から2023年12月に選挙を前倒し、国内の混乱を収束しようとするディナ・ボルアルテ新大統領の提案を否決しました。決議には87票の賛成が必要でしたが、公式集計で賛成49票、反対33票、棄権25票でした。

 ペルーでは、ペドロ・カスティーヨ前大統領が議会を解散し、政令で統治しようとしたため、議会が同氏を追放し、司法当局が逮捕しました。これに抗議するデモが全国で起き、それを制止しようとする警察と衝突、デモ隊に死者が出るに及んで、道路封鎖やタイヤの焼き捨てといった暴力的なデモに変化しました。とくにアンデス地方や北部の都市を中心に激しいデモが起きています。

 同国第2の都市アレキッパの空港では、数百人のデモ隊が滑走路を一時的に封鎖、クスコ市とインカの城塞都市マチュピチュを結ぶ列車は運休、普通の道路の封鎖、農民組合と先住民組合の無期限ストとデモは拡大し、メキシコ、アルゼンチン、コロンビア、ボリビアの各政権がカスティーヨ支持を表明するなど、混乱は収束の気配が見えません。このため政府は全国に30日間の非常事態宣言を発令しました。

 この混乱収束のためボルアルテ新大統領はデモ隊が要求する新しい選挙を前倒しで実施する案を議会に提案する一方、ペドロ・アングロ元検察官をトップに、19の省庁に8人の女性を含む官僚を配置した新内閣を提示しています。米国は「ペルーは民主主義が安定している」と評価し、ボルアルテ政権への協力を約束しています。