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アルゼンチン大統領、350法令を廃止や修正で反対デモ勃発

 ブラジルのメディアによると、アルゼンチンのハビエル・ミレイ大統領は20日、経済の規制緩和と輸出促進の法令を発表しました。この大統領令は、衛星インターネットサービスと民間医療の規制を緩和し、労働市場をより柔軟にし、多くの国内法を廃止します。専門家は、この法案は政令で制定できるものではなく、議会で論議すべきだと述べています。新法令は官報に掲載され次第、21日にも発効します。

 新法令にはいくつかの国有企業の株式会社への転換も含まれ、大統領は国民向けの声明で、「われわれが受け継いだ危機を少しでも減らすために全力を尽くしている」と述べました。これに対しアルゼンチンの新聞「ラ・ナシオン」紙上で憲法学は、「発表された必要かつ緊急の法令は憲法の要件を満たしていない」と指摘し、専門家たちも「ミレイ大統領は権限を逸脱し、議会の権限を侵害している。最高裁判所のフィルターを通していない」と批判しています。

 今回のような措置は、必要性と緊急性があると認められた場合、アルゼンチンでは大統領権限で発布できることになっています。憲法学者は「法案を阻止するためには、下院と上院で否決する必要がある」と説明しますが、大統領は「これは第一歩に過ぎない。今後数日のうちに、われわれは国民議会の臨時会期を招集し、議会に変革するための協力を求める」と表明しています。

 新法令は現行法律350以上を修正または廃止するという激しいもので、ブエノスアイレスでは反ミレイ大統領デモが起き、警察との衝突騒ぎも起きています。アルゼンチン政府報道官は「法令はより大きな大惨事を回避するのが目的だ。状況が深刻であることは理解している」と述べ、今後報道機関にはビデオで発表し、質問は受け付けないとしています。

 法令は家賃法の廃止、物価監視所の廃止、産業振興法の廃止、貿易促進法の廃止、国有企業制度の廃止、土地法の廃止など350以上の法律を廃止、修正するものです。

 アルベルト・フェルナンデス前大統領は今回の布告について、「健康、労働、市民の権利制度の不安定化の可能性など、アルゼンチンに深刻な経済的・社会的影響を与えるだろう」と指摘し、「法の支配の原則に著しく違反し、アルゼンチンは危機に瀕している。憲法の規定に則って解決すべきだ」とミレイ氏を批判しています。