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見直される先駆者のバンデイラたち

 ブラジルのメディアによると、サンパウロの裁判所は30日、開拓者ボルバ・ガト像の火付けに関与した疑いで24日に逮捕された女性を証拠不十分で釈放しました。

 釈放されたのはゲシカ・バルボサさんで、彼女は当日3歳の娘と家にいたと供述、弁護士も「警察の情報を検討しても、事件当日、彼女が像の火付けに加わることは不可能」と主張していました。

 ボルバ・ガト像の火付けが問題になるのは、政治的な問題を含んでいるからです。ボルバ・ガトは開拓者として知られますが、最近は、「ボルバ・ガトなどのバンデイラは、国の内部に領土を開き、先住民と黒人を捕らえて奴隷にした」との考察がなされ、像の設置が議会でも問題視されています。

 歴史家の中には、「多くの人が衝突で先住民を殺し、その結果、民族グループを壊滅させた」と研究結果を発表している人もおり、また彼らは女性をレイプして人身売買をしていたと主張する向きもあります。

 こうしたことからボルバ・ガト像は人種差別を象徴していると見られ、記念碑の禁止または撤去を求める声も強くなっています。連邦議会、州議会、市議会などでも議論されていますが、法案成立はまだです。