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ブラジルで麻雀普及の協会、非日系人だけで発足

 サンパウロ州ピラスヌンガ市にブラジル麻雀協会(ABM)があります。運営するのは同市のオクタビオ・セザル・モラレスさん(35)で、まだ小さな規模ながら、麻雀の楽しみを広く知ってもらいたいと友人・知人を誘い、会員は非日系人だけです。サンパウロ新聞記者らが取材も兼ねて「日本人チーム」数人で遠征に出かけ、それをルポしています。いかに紹介します。

麻雀を始めたきっかけは日本の麻雀劇画

 サンパウロ市から北西300キロに位置するピラスヌンガ市は、ピンガ(サトウキビが原料の酒)やサトウキビ生産が主産業で、人口約7万人程度の小さな都市だ。「日本人も全く見かけないこの街で本当に麻雀ができるのだろうか」というのが率直な思いだった。
 町へ着くと、オクタビオさんらの出迎えを受けた。家には麻雀卓3卓に牌が用意され、会員の8人がテーブルを囲んでいる。早速『日本・ブラジル交流麻雀大会』が開催された。
 この街でオクタビオさんがブラジル麻雀協会を発足させたのは10年9月。元々テーブルゲームが大好きなオクタビオさんはある時、日本の漫画やアニメを見ていて、麻雀漫画「アカギ」(竹書房福本伸行)に出会った。それをきっかけに麻雀への関心が高まり、知人とともにサンパウロ市リベルダーデ区まで足を運んで、麻雀牌と漫画を買い、独学で麻雀のルールを勉強した。
 ブラジル国内には正式な協会や団体は存在せず、「ならば自分たちで立ち上げよう」と、知人3人(すべて非日系人)とともにブラジル麻雀協会を立ち上げた。設立から1年がたつと、会員数は8人にまで増えた。他に希望者も数人いるという。週末は、麻雀を習いに来る人がオクタビオさん宅を訪ねてくる。ルールや役はすべてオクタビオさん自らが英語訳された教本を基にポルトガル語に訳し会員らに配布、実戦で教えている。

ポ語混じりでポン、チー

 麻雀卓にはポルトガル語が交じりながら「ポン」「チー」「ロン!」と威勢のいい声が飛び交う。卓を囲んでいたアミル・オマール・カチルさん(21、非日系)は麻雀を覚えて3カ月。その彼が「ツモ、スーアンコ」と役満を上がった。これが同協会発足以来初めての役満と遭って、他の卓の会員もにぎやかに祝った。
 小気味よく牌をさばきながらオクタビオさんは、「こうして日本人と実際に麻雀が打てるとは思ってもみなかったよ。いつか正式に日本とブラジルで交流大会を開催したい。そして一度日本へも足を運んで実際に見て勉強したい」と意欲を見せた。
 今年6月にイタリアのベネチアで開かれた「ヨーロピアン・マージャン・チャンピオンシップ」の様子も随時チェックしていたという。「当面は会員をもっと増やし、国内でコミュニティーを作ってたくさんの人に麻雀の楽しさを知ってもらいたい」と今後の抱負を語っていた。