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急増する中産階級

 ブラジルにおける中産階級、いわゆる「Cクラス」の拡大が続いています。ダタ・ポプラール研究所の調査によると、平均世帯月収2295レアル(約10万円)のCクラス層が全人口に占める割合は、現在54%ですが、2014年には58%にまで上昇すると見られています。こうした階層の向上で各企業は、商品構成や販売戦略の練り直しを迫られています。
 地元メディアによると、ダタ・ポプラールの消費に関する調査の専門家、ワグネル・サルネッリ氏は「新しいCクラス層の消費パターンは変化しており、これから先も現在と同じということはない」とした上で、「この層への販売を望む企業は、彼らの行動パターンなどについて正確に理解していなければならない」と述べ、市場で最も大きくなりつつあるCクラス層についての調査の重要性を指摘しています。

Cクラス層取り込みに動く企業

 ブラジルの中産階級を取り込もうとする動きはすでに多くの企業に見られており、これまでA、Bクラス層を顧客と捉えていた日本を代表する企業の一つ、ソニーも、すでにこの動きを始めています。メディアは「ソニーは当地で自社ブランドの浸透を図るため、昨年からブラジルの新たな中産階級(Cクラス)の習慣などについて調査を行っている」と伝え、ソニーブラジルのマーケティング部門責任者、カルロス・パスコアル氏の「当社は2009年までニッチ(隙間市場)に焦点を当ててきた。いまソニーは他の消費者とも話がしたい」との談話を紹介しています。パスコアル氏はCクラスを「未来のBクラス」と見ています。

Cクラス向けの商品開発

 「日本人の役員も街に出た」と報道されているCクラス層の消費者動向調査では、新中産階級層に合わせた製品デザインに生かすために、テレビや音楽機器(ステレオ)の視聴時間、デジカメの使用方法など、日常生活の中の簡単な事柄について情報を収集しました。この情報を基にソニーは10月中旬、ブラジルのCクラス向けに開発したミニシステム(ミニコンポ)「Shake(シェイク)」を売り出しています。スピーカーに は一般的なステレオの3倍の出力を持たせており、決して安いとは言えない価格設定(希望小売価格2599レアル)ですが、パスコアル氏は同層向けの販売を3倍にすると意気込んでいます。