中南米の最新情報

NPOチャレンジブラジルが、ブラジルを中心に中南米のニュースをお届けします。

米国で入院中だったボルソナロ氏が退院

 ブラジルのメディアによると、米国フロリダ州の病院に入院していたボルソナロ前大統領は10日、退院し、滞在先の同州キシミー(オーランド国際空港の近く)の家に戻りました。

 ボルソナロ氏がソーシャルネットワークで明らかにしたもので、入院したのは「腹部の不快感」のための検査入院だったとしています。

 ボルソナロ氏は 大統領を退任する前日の30日、オーランドへ向けて旅立っていました。

バイデン大統領がルーラ大統領に電話で、支持を伝える

 ブラジルのメディアによると、バイデン米国大統領はブラジリアで暴動が起きた翌9日、ルーラ大統領と電話で会談しました。電話はバイデン大統領からかけたもので、会談でバイデン大統領は「民主主義を大切にするブラジルを支持する」と強調しました。

 バイデン大統領は2年前、ドナルド・トランプ前大統領の過激な支持者が米国議会の議事堂を襲撃するといった非常によく似た状況を経験しています。

 米国政府は、バイデン氏とルーラ氏の会談後、「米国大統領は、ブラジルの民主主義とブラジル国民の意思に対し、米国は揺るぎない支持を表明する」という声明を出しました。

 バイデン大統領は、暴力と民主的制度への攻撃を批判、平和的な権力移譲を擁護した他、両首脳は、気候変動、経済発展、平和と安全など、米国とブラジルが直面している問題について協力することも約束しました。そして、バイデン大統領は、ルーラ大統領を2月上旬にワシントンに招待する意向を表明、、ルーラ大統領はその招待に応じました。

 なお、ブラジルメディアは「政府はすでに10州でテロ行為の資金提供者を特定したと法務大臣が語った」と報じています。

ブラジルの暴動にボルソナロ派知事らも非難

 ブラジルのメディアによると、2022年の選挙でジャイル・ボルソナロ前大統領の支持を受けた知事たちも8日、ブラジリアで起きたテロを非難しました。発言したのは、ボルソナロ政権のインフラ相だったサンパウロ州のタルシオ・デ・フレイタス知事、選挙でボルソナロへの投票を要請したリオデジャネイロ州のクラウディオ・カストロ知事、ミナスジェライス州ロメウ・ゼマ知事らです。

 ブラジリアでは8日にボルソナロ支持のテロリストたちが議会、最高裁判所、大統領府を襲撃し、公共の建物を荒らし、警察と衝突しました。タルシオ知事は「クーデター計画者は 暴力、権利の侵害があった瞬間から正統性と理性を失った。サンパウロでは認めない」と発言しました。

 こうした知事の動きにもボルソナリストの国会議員たちは、テロ行為について沈黙を続けています。

メキシコで地下鉄の衝突事故、1人死亡、57人負傷

 ブラジルのメディアによると、メキシコシティーで7日、地下鉄2台が衝突し1人が死亡、57人が負傷しました。同市検察庁は事故の調査に着手しました。同市のシャインバウム市長は、「57人が負傷し、中には軽傷だが病院に収容された人もおり、残念ながら1人が死亡している」と報道陣に説明しました。

 また市長は言葉を続け、「事故は午前中に発生し、メキシコの首都で北から南へ走る地下鉄3号線のポトレロ駅とラ・ラザ駅の間で2台の列車が衝突した」と説明し、「深刻な状態にあるのは運転手だ」と付け加えました。メキシコのロペス大統領は、事故の犠牲者に哀悼の意を表明しています。

 メキシコシティの地下鉄は1969年に開通し、全長226キロメートル、12路線195駅があります。2021年現在、これまでに8億3700万人の乗客を運んだと当局は試算しています。これまでで最も悲劇的な事故は、2021年5月の列車とともに地下橋が崩落した事故で、26人が死亡、数百人が負傷しました。

メキシコの空港で旅客機が銃撃される

 ブラジルのメディアによると、メキシコの空港で銃乱射事件があり、乗客が座席の間に避難する騒ぎになりました。事件が起きたのは5日のクリアカン空港で、麻薬王が逮捕されたことで麻薬密売人たちが反発、旅客機に向け銃弾を浴びせました。

 メキシコの麻薬カルテルのボスの息子オビディオ・グスマンが逮捕されことに麻薬密売人たち反発し、銃撃騒ぎになったもので、メキシコ空軍機も被弾したほどです。メキシコの国防相は記者会見で、「治安部隊がシナロア・カルテルの32歳の密売人を捕らえた。グスマンはメキシコシティで拘束されている」と発表しました。

 事件が起きたのは、メキシコシティで開催されるジョー・バイデン米国大統領も出席する北米首脳会議の数日前で、メキシコ政府関係者は、「グスマンの逮捕は、バイデン大統領の訪問を前に米墨協力の面から歓迎すべきことだ」と述べました。

 飛行機乗客の一人は、「離陸のために加速していたとき、飛行機のすぐそばで銃声がしたので、全員が座席の間にひざまづき、床に身を伏せました」と恐ろしい体験を語りました。メキシコ北部のクリアカン市は、世界で最も強力な麻薬密売組織の本拠地があります。

 事件に巻き込まれた民間旅客機はメキシコのアエロメヒコ航空で、クリアカンからメキシコシティに飛ぶ予定でした。飛行機の胴体が銃撃を受けましたが、乗客・乗員に怪我はありませんでした。同事件で空港は閉鎖されました。

ブエノスアイレス市のジェル購入は感染予防か愚策か

 ブラジルのメディア5日付によると、ブエノスアイレス市保健省が推進するある取り組みが、アルゼンチン国内で物議を醸し、世界的に注目されています。現地紙がブエノスアイレス市が性的潤滑剤のジェルを1瓶あたり500米ドルで合計100万個を購入したと報じたため、購入の是非が論議になっているのです。

 市政府は「潤滑ジェルの使用は、性的関係におけるコンドームの破損の可能性を減らし、その結果、性感染症を予防する。特にアナルセックスの実践に推奨されるツールだ」と購入理由を述べています。

 この購入には野党の政治家から「5億(アルゼンチンペソ)も費やして購入が必要なのか」と批判が上がっています。この批判に衛生士が反論し、「購入は国民を大切にする取り組みだ。私たちは管理し、法律を遵守し、住民に配慮している。セクシャルヘルスの予防・ケア用品の購入は、今に始まったことではなく、常に行われてきたことだ」と指摘しています。

 この製品は薬店では2,000ドル近くで売られているそうですが、市は500ドルで購入したといいます。市当局は「コンドームを購入すると2gのジェル(小袋入り)が付けられているが、すべての人が両方を使用しているわけではない。100グラムの瓶であれば廃棄されずに済む」と説明し、「100グラムの瓶が必要な方には配布する」としています。

さようなら、サッカー王

 ブラジルのメディアによると、惜しまれつつ82歳で生涯を閉じた「サッカー王」ペレ氏の遺体は3日、2日間にわたって喪に服した後、サントスのエキュメニカル・メモリアル墓地に埋葬されました。3日の通夜にはルーラ大統領夫妻も参列しました。

 サントス・フットボール・クラブによると、23万人以上の人々がペレ氏に別れを告げに訪れ、2日間行われた通夜には友人、ファン、選手、元選手、市長、サッカー協会会長、サンパウロ州知事ら有力者120名が参列しました。

中南米の最新情報は本日から再開します。

ブラジルの司法長官が最高裁にクリスマス恩赦の一部は違憲

 ブラジルのメディア27日付によると、アウグスト・アラス司法長官は、ボルソナロ大統領が行ったクリスマス恩赦令のうち、カランダル虐殺と呼ばれる事件を起こした警察官の恩赦は違憲として最高裁判所に訴えました。アラス長官はこの政令の一部を直ちに停止するよう要請しています。

 カランダル虐殺は1992年にカランダル収容所で起きた反乱を抑えるために動員された治安部隊が111人の囚人を虐殺した事件で、動員された警察官らが有罪になりました。現在、罪判決を受けた警察官の5人が死亡し、69人が生存しています。

 アラス長官は「凶悪犯罪に対する恩赦は憲法に違反する」と指摘、この件に関する恩赦の中止を求めたものです。これにボルソナロ政権は「凶悪犯罪に分類される前の犯罪であり、恩赦は正当である」と主張、アラス長官はこの反論に「国際人権条約の遵守という憲法の義務に違反する恩赦だ」と強調しています。

 クリスマスの恩赦は、刑罰の赦しを意味し、毎年クリスマスの頃に出されます。恩赦の恩恵を受ければ、受刑者は刑が消滅します。

 ●「中南米の差新情報」は本日で年内は終わりです。来年は4日頃から再開します。それでは良いお年を。(チャレンジ・ブラジル)

組閣で頭を痛めるブラジルの新大統領

 ブラジルのメディアによると、サンパウロでクリスマスを過ごしたルーラ次期大統領は25日、ブラジリアに戻り最終的な組閣を行います。これまでに21人の閣僚を発表していますが、まだ16閣僚が発表されていません。ルーラ氏には、就任式、そして政府の始動、組閣と、6日間のハードワークが待っています。メディアは「ルーラ氏はブラジルの民主化と国民の権利の向上を図り、ブラジルの新しいページを開くだろう」と報じています。

 閣僚人事で注目されているのはシモーヌ・テベト上院議員の処遇です。テベト氏は大統領選の1回目投票で3位になり、決選投票では、これまでルーラ氏を支持していたわけでもないのに支持に回りました。この支持で同議員は新政府の閣僚のポストが約束されました。同氏はボルサファミリアなどを担当する社会福祉分野の担当を望んでいると言われています。ところが、その部署はウェリントン・ディアス次期上院議員が手にしました。ルーラ氏はテベト処遇という難題を抱えたことになります。

 ルーラ氏はTwitterに「皆様、良い1週間をお過ごしください」と書きましたが、ルーラ氏自身はブラジリアのホテルで会議に明け暮れることになります。消息筋は、「テベト氏は、都市計画などの担当になるのでは」といった予測をしています。マリナ・シルバ元環境大臣は再び環境大臣に就任予定です。未定なのは先住民族省、社会保障省、スポーツ省、都市省、統合と地域開発省、環境省運輸省など16省です。

ブラジルで最も泊まってみたい都市はフロリアーノポリス市

 ブラジルのメディア26日付によると、2023年にブラジルで最も泊まってみたい都市はフロリアーノポリス市(サンタ・カタリーナ州の州都)と判明しました。Webで貸したい人借りたい人を仲介するアメリカのエアービーアンドビー(Airbnb)の調査によるものです。このランキングは、2022年の第1四半期から第3四半期までに行われたチェックインに基づき決定されました。

 フロリアーノポリス市はAirbnbサイトでもっとも検索されたブラジルの都市で、このほかにブラジルではポルトセグロ市(バイーア州)、サルバドール市(バイーア州)が上位にランク入りしています。フロリアーノポリス市役所は、この夏、海岸には50万人を超える観光客を見込み、過去10年で最大の規模になると予測しています。

 世界でランク入りしている泊まりたい都市は、スペインのマラガ市(アンダルシア州)、オーストラリアのシドニーニューサウスウェールズ州)、タイのバンコクニュージーランドオークランド市などです。