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アルゼンチン大統領選、マッサ、ミレイ両候補で決選投票へ

 ブラジルのメディアによると、アルゼンチン大統領選挙が22日に実施され、開票率93%の段階で、上位2人のセルジオ・マッサ候補とハビエル・ミレイ候補が11月19日の決選投票に臨むことが決まりました。決戦投票では、2人以外に投票した人たちの動向が結果を左右すると見られています。

 開票率93%の段階で1位は900万票(36.39%)のマッサ候補、2位は748万票(30.14%)のミレイ候補で、2人が決選投票で競います。大統領選に出馬したのは5人で、3位はパトリシア・ブルリッチ候補(23.82%)、フアン・スキアレッティ候補(7%)、マイラム・ブレグマン候補(2.76%)でした。

 1位のマッサ候補(51歳)は現経済大臣。同氏は祖国戦線連合(与党連合)の中で最も正統派の政治家とみられ、アルゼンチン大統領を3度務めたペロン元大統領の後継者といわれます。優れた交渉人との評判もあります。最初、同連合内で最も有力候補視されていたのはクリスティーナ・キルチネル副大統領側近のエドゥアルド・デ・ペドロ氏でした。しかし、得意の交渉力(政治力)で大統領候補指名を勝ち取りました。

 マッサ候補の弱点は、経済大臣として年間138%のインフレを制御出来ていないことです。しかし、選挙戦では購買力回復に務め、医薬品の無料配布、教育制度改革、温室効果ガス排出の削減、税制改革などを訴えました。

 一方、相手のミレイ候補(53歳)は超リベラルな経済学者で、自身が組織したフリーダム・ゴーズ連合から立候補しました。テレビ番組への出演で有名になり、政府の新型コロナ感染防止策の外出禁止令に抗議活動するうちに経済学者から政治家へ転身しました。2021年、連邦議員に当選、議員として派手なパフォーマンスはしませんでしたが、演説では群衆を集め続け、人気を裏付けました。

 ミレイ候補は国家規模を縮小すると主張、国内総生産GDP)の15%の削減を主張しています。また、文化、科学、環境などを廃止するなど省庁数を18から8に削減すると述べ、科学研究に資金を提供する機関コニセットへの資金提供を撤回する意向も表明しています。同候補はこれまで、中央銀行を閉鎖し、経済をドル化すると提案してきましたが、大統領選ではその主張は強調されなくなりました。この他、電力部門の改革、抜本的な商業開放、アルゼンチン航空など国営企業の民営化を訴え、中絶を合法化した法律撤回の意向を表明しています。