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コロンビア大統領に元ゲリラ戦士が当選

 ブラジルのメディアによると、経済学者で元ゲリラ戦士のグスタボ・ペトロ候補が19日、コロンビア大統領選の決選投票で勝利し、コロンビアで初の左派系大統領に選ばれました。ペトロ候補は3度目の大統領挑戦で、やっと大統領にたどり着きました。副大統領は、こちらもコロンビアで初の黒人女性フランシア・マルケス弁護士です。

 対立候補は実業家でブカラマンガ市のロドルフォ・エルナンデス前市長で、開票機関によると、ペトロ氏の得票率は50.49%、エルナンデス氏は47.25%(約71万7千票の差)でした。世論調査では、わずかにエルナンデス候補が有利でしたが、結果はペトロ候補の勝利となりしました。結果発表の直後、ペトロ氏は「今日は国民にとっておめでたい日だ」とコメントしました。

 エルナンデス候補も勝敗がはっきりした1時間後に「コロンビアの皆さん、今日は市民の大半がもう一人の候補者を選んだ。選挙期間中に言ったように、私はこの選挙結果を受け入れる」とコメントしました。

 選挙戦でペトロ氏は政権の腐敗を訴え、「泥棒と殺人者を権力から追い出す」と経済の民主化を公約しています。ブラジルとの関係についてはあまり言及していません。

 ペトロ氏は1960年4月、コルドバ県生まれ。1970年、コロンビア保守派による不正選挙が発覚、反発してゲリラ組織「Movimento 19 de Abril」(通称M-19)が結成され、彼も17歳で入党しています。1985年、武器の不法所持で逮捕され、本人は「軍から拷問を受けた」と主張しています。その後、1年半刑務所で過ごしました。

 M-19は1985年11月、司法省を襲い、300人以上を人質に立てこもり、28時間にわたって軍とにらみ合いを続けました。この事件で最高裁判所長官ら100人以上が死亡しています。この間ペトロ氏は獄中にいたため、事件に関与していませんでした。

 ゲリラ活動と並行してペトロ氏はボゴタの大学で経済学の学位を取得しています。ゲリラ集団は1990年に「M-19民主同盟」という政党に変身し、ペトロ氏も創業者の一人でした。同党は1990年のコロンビア新憲法制定では、積極的な役割を果たしています。