中南米の最新情報

NPOチャレンジブラジルが、ブラジルを中心に中南米のニュースをお届けします。

米州開発銀行総裁にブラジル人のゴールドファイン氏を選出

 ブラジルのメディア21日付けによると、米州開発銀行(IDB)総裁にブラジル人のゴールドファイン氏が選出されました。これにメキシコ政府が難色を示し、メキシコとアルゼンチン政府間で意見が異なり、両国間に軋みが生じています。

 ゴールドファイン氏はチリ、メキシコ、トリニダード・トバゴの候補者を破り、80.1%の得票率で総裁に当選しました。メキシコのオブラドール大統領は「ブラジル人の当選は遺憾であり、同じことの繰り返しだ」と批判しました。メキシコ政府は左派の経済学者で、同国の中央銀行副総裁を務めるゲラルド・エスキベル氏を立てていました。

 メキシコのブラジル人反対理由は、「米国政府が推進する新自由主義政策にリンクするもので保守主義だ」と述べています。これにゴールドファイン氏は「私は党派的な人間ではなく、技術的に行動する人間だ」と反論し、「貧困対策と気候変動対策に力を入れる」と強調しました。

 アルゼンチンのメディアの解説では、アルゼンチンとメキシコ間の意見の相違が、結果的にはブラジルに有利に働いたとしています。アルゼンチンは経済学者のセシリア・トデスカ氏を候補者に考えていて、メキシコは当初、トデスカ氏の支持に傾いていました。ところがメキシコ政府はアルゼンチン政府との調整がつかず、独自候補の擁立に踏み切りました。

 アルゼンチンの新聞によると、アルゼンチンとメキシコ間の調整失敗で、隣国のブラジルが漁夫の利を得たとしています。ブラジルのゴールドファイン氏は、米国、アルゼンチン、カナダなどの支持で総裁の席を射止めました。