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南米の人権闘争のシンボルが死去

 軍事独裁政権下のアルゼンチンで誘拐、拷問、失踪した子どもたちの情報を求め1970年代に結成された運動「5月広場の母たち」の創設者ヘベ・デ・ボナフィニさんが20日、死去しました。享年93歳でした。ヘベさんは健康に問題があり、最近、ブエノスアイレスの隣の都市ラプラタの病院に2度入院していました。ブラジルのメディアが報じました。

 ヘベさんはアルゼンチンとラテンアメリカにおける人権闘争のシンボル的存在で、南米各国の首脳が彼女の死を惜しんでいます。アルゼンチンのフェルナンデス大統領は、「困難な瞬間の指針として常に存在した彼女の闘いに敬意を表し。3日間の喪に服す」と宣言、「大きな愛情と惜別の念をこめて、彼女に別れを告げます。また、いつでも会いましょう」と述べました。

 また、ブラジルのルーラ次期大統領もSNSでヘベさんの死を嘆き、「彼女がラテンアメリカで最も重要な民主化運動の1つを作り上げた。彼女の闘争と忍耐は、より民主的な世界を信じる人々の模範であり続けるだろう」と記しています。

 ボリビアエボ・モラレス大統領もツイッターに投稿し、「歴史的に尊敬される彼女の旅立ちはとても悲しく、嘆き悲しんでいる」と惜別の言葉を述べ、チリのボリック大統領もツイッターに、「真実、記憶、正義、人権のための揺るぎない闘いに対する深い敬意と賞賛をもって、彼女に別れを告げる」と書きました。

 「5月広場の母たち」は今でも、木曜日には5月広場に集まり、アルゼンチン政府本部前を行進しています。ヘベさん自身も、3人の子供のうち2人を軍に誘拐され失いました。