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ブラジルの新大統領は財政危機に直面する

 ブラジルのメディア26日付によると、30日の大統領決選投票でボルソナロ氏、ルーラ氏のどちらが当選したとしても、財政危機が待ったなしで訪れ、経済の面で大きな荷物を背負い込むことになると指摘しています。コロナウイルスの大流行、世界的な景気減速がブラジルも直撃、専門家は「2022年に承認された恒久的歳出の増加で、増税は避けられない」とも予測しています。

 経済学者たちは、「コロナウイルスの流行が終息に向かっても、増税や経済活動の鈍化は避けられない」と指摘、舵取りが難しいと話しています。ルーラ候補は、最低賃金の再調整、公共投資の再開、税制改革などを公約し、現ボルソナロ政権は、「経済は好調だ」と失業率やインフレ率が低下、徴税率が上昇していることを強調、さらに構造改革を進めるとしています。しかし、経済学者は「新大統領の今後4年間は様々な難題に見舞われ、平坦な道ではない」といいます。

 両候補の公約実現も難しそうです。両者はアウシリオ・ブラジルの給付金600レアルを継続すると公約していますが、財源は400レアル分しか手当てされていません。それも12月までという期限付きで議会は承認しています。継続となれば、新たに518億レアルの財源が必要で、ただでさえ厳しい財政が持ちそうもありません。

 このほか、平均5%の値上げをする場合の公務員の調整費116億レアルがインフレの状況によってはさらに増額する可能性もあり、独立財政機関の計算では、来年は全体で637億レアルの赤字との見通しをしています。アナリストは、「赤字幅は2倍になる可能性もある」と指摘しています。