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欠陥部品で電車トラブル続く

 地元メディアによると、メトロポリタン公社は17日、サンパウロ市地下鉄3号線で起きた同社初の車両衝突事故の原因が電子部品にあったと発表しました。サンパウロ州各地の郊外電車でもトラブルが続発、徐行運転や予備路線の使用を余儀なくされており、交通機関に対する住民の不信感が高まっています。
 問題の電子部品は、線路上の各車両の存在を感知、それぞれの車両の運転速度を自動調整する機器で、衝突事故を起こした地下鉄3号線のほか1号線と2号線に合計12個使用されています。メトロポリタン公社によると、衝突事故の発生直後に3号線カロン駅付近の欠陥電子部品は交換し、そのほか11個の部品も不備は見当たらなかったものの、念のためすべて取り替えました。
 今回の衝突事故では、電子部品の不具合によって減速するはずが逆に加速する信号を送っていたとみられます。中央制御センターでは17日、複数の運転士からバラ・フンダ行きのカロン駅―タツアペ駅間でシステム上の問題が発生していると事前報告を受けていたと語っています。メトロ側はこの報告を、事故発生の約25分前に受けたと語り、衝突を回避できなかったと弁明しています。
 3号線で使われていた信号システムは1979年の開業当時のもので、2008年にアルストム社との間で制御システムに関する契約が7億600万レアルで結ばれました。契約書には、11年7月までに新システムへの移行を終了すると明記していますが、現在まで2号線の一部しか終了していません。この事故でメトロ側はアルストム社に対し1000万レアルの違約金を請求しました。地下鉄従業員組合のアルチノ・メロ会長は、民間企業委託が進みシステムの一貫性が失われたと指摘しています。