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「移転価格税制」の「暫定措置」に注視必要

 海外の関連企業との取引価格(移転価格)を通常の取引価格(独立企業間価格)とみなした上で所得を計算、課税する「移転価格税制」についてのセミナー(ブラジル日本商工会議所主催)で、国際会計事務所組織デロイト・トウシュ・トーマツのディレクターの都築慎一氏が解説しました。
 都築氏によると、「暫定措置563号」には、原材料部品を輸入する製造業者や輸入品の販売業者らにおける利益マージンの変更が業種別に設定されているほか、企業側が主張する計算方式や申告額などが国税庁の見解と違う場合、これまでは不服を申し立てて裁判に持ち込むという選択肢があったが、今後はこれをできないように改正する案などが盛り込まれています。ただし、現在公表されている内容はあくまで「暫定」で、今後議会での審議を経る過程で内容が変更される可能性が大きく、都築氏は「法律になった時にどうなっているかが重要」と述べ、今後も引き続き注視する必要があると話しました。同氏は「暫定措置563号」に対する修正案はすでに180件に上っており、そのうち移転価格税制に関するものが30〜50件と見ています。
 議会での審議は最大120日間で、この間に法制化できない場合は同法案は廃案となりますが、「暫定措置563号」の柱は移転価格税制の改正ではなく経済活性化政策「ブラジル・マイオール計画」の新施策として減税策等を実施するための税制改正案であることや、これまで民間側の意見を取り入れるなど十分な準備がなされていることから、法制化される可能性が高いとおもわれます。
 「暫定措置563号」における利益マージン率等の変更点、注意点などの詳細を記した同セミナーの資料は、ブラジル日本商工会議所のウェブサイト(http://jp.camaradojapao.org.br/)で閲覧が可能です。