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横浜国立大教授、日伯関係疎遠化に警鐘

 山崎圭一横浜国立大学経済学部教授は、サンパウロ市での「日本・ブラジルの新パートナーシップ、サスティナブル社会(公害がなく、水、空気、街並が美しく静かな社会)の観点から」と題した講演で、出稼ぎ問題、日系進出企業の撤退・縮小、日本政府のブラジルに対するスタンス(距離)のあり方に警笛を鳴らしました。
 山崎教授は、環境問題、日本経済の概観、日伯関係について説明する中で、外交では、2004年の小泉首相の訪伯、5月に予定されているルーラ大統領の来日など、明るい面もあるが、それ以外では日本政府は、ブラジルとは一定の距離を置き始めていると苦言を呈しました。
 現在、日本では高校、大学の進学率が95%を超えるていますが、ブラジルからの出稼ぎ者の子弟の進学率は50%前後に過ぎず、日本へ定住するにしろ、ブラジルへ帰国するにしても、教育問題は見過ごすことのできない状態にある、とも指摘します。
 ブラジル日本商工会議所の会員も、全盛期の300社から130社にまで減少、リスクを恐れず挑戦する欧米企業と比べ日本の企業の安全第一主義を批判しました。グローバル社会を迎えた今、日本企業もリスクがありながらも、それを乗り越える努力が必要で、それがなければ日本企業は世界の企業戦争に敗北してしまうと警告を発します。ブラジルはリスクはあるが、チャレンジに値する国だと述べ、日本企業の奮起を望みました。
 日本政府に対しては、近年、外務省経済局の中にブラジルを研究するセクションが出来たが、北米、アジア重視傾向が強いためか、人材が不足しているように見受けられるとして、もっとブラジル重視の政策に切り替える必要を訴えました。