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景気停滞まだ続く

 ブラジルの経済・産業界の現状を知り、今後の企業活動等に役立ててもらおうと、ブラジル日本商工会議所(CCIJB、藤井晋介会頭)が毎年2回(上期・下期)開催している「業種別部会長シンポジウム」が20日、サンパウロ市内ホテルで開催されました。「2013年上期の回顧と下期の展望」を主題に、「どうなるブラジル経済―持続的成長に向けて」を副題に据えた今回のシンポジウムでは、様々な要因による国内消費の拡大減速、景気低迷、政府プロジェクトの遅れなどによって各社が苦戦を強いられている様子が明らかになりました。
 シンポジウムでは金融、自動車、機械金属、繊維、食品など11の部会がそれぞれ報告を行いました。上期(1〜6月)の回顧ではいくつかの部会が、6月中旬から都市部などを中心に頻発している抗議活動(デモ)によって消費活動が鈍化するなどマイナスの影響を受けたと報告。このデモについて、コンサルタント部会の関根実部会長は、アラブ諸国やトルコで起こったような反体制・反政府デモでも、特定の政党や労働組合主導のデモでもない「自然発生的デモ」であるとし、ブラジルへの出張見送りや投資先延ばしなど「短期的に見ればマイナスの影響はあった」としながらも、「長期的に見ればブラジルにとって良いこと」と評価しました。
 金融部会長の山崎展生氏(ブラデスコ銀行)の報告では、13年上期はレアル安とインフレが進行し、成長の原動力だった個人消費が勢いを失うなど経済が停滞しました。同氏によると「今が悲観のピークで今後回復するとの考えもある」が、「景気低迷並びにインフレ進行による実質所得の減少に伴ってサービス業のインフレはが止まるが、レアル安の影響などにより景気後退サイクルに入る懸念もある」としています。