中南米の最新情報

NPOチャレンジブラジルが、ブラジルを中心に中南米のニュースをお届けします。

ブラジル大統領がエクアドルへの支援を表明

 ブラジル大統領はエクアドル大統領と電話会談、エクアドル危機に対する支援を申し出ました。ブラジルのメディアによると、ルーラ大統領は23日、エクアドルのダニエル・ノボア大統領に電話しました。ブラジル大統領府は「エクアドルが2016年初めから組織犯罪や麻薬密売との戦いで危機にあり、諜報活動や治安分野での協力行動を含め支援する意向を表明した」と会談内容を説明しました。

 エクアドルの問題は、ブラジル政府内でも絶えず議論されてきたことで、大統領はこの問題を克服するために地域統合を強化する必要があると提案、ノボア大統領も同意しました。同会談には、マウロ・ヴィエイラ外務大臣も同席しました。

 ブラジル大統領府では、エクアドルでブラジル人が誘拐され長期拘束されなど治安の乱れており、同国に住む他のブラジル人にも悪影響を与えることを懸念されています。

 会談で両国大統領は「南米諸国が組織犯罪との戦いで団結しなければならない」ということで合意し、「地域統合の強化がこの問題を克服する基本的な条件」という点で一致しました。エクアドルは22の犯罪組織と「好戦的な団体」をテロ組織と特定、それらを「無力化」する軍事作戦の実施を国軍に命じています。

ブラジル大統領が2024年予算案を承認

 ブラジルのメディアによると、2024年予算案が23日、ルーラ大統領が承認したことで公布されました。大統領は承認に当たって56億レアルの委員会修正案を拒否、その他は議会で承認された全文を承認しました。政府は、修正案の主要経費の配分が削減されると政府の計画通りの事業に支障をきたすと説明、大統領の拒否権行使を正当化しました。

 2023年12月に議会で承認された予算ガイドライン法では、35億レアルの黒字が見込まれ、これは予算ガイドライン法が定めた財政赤字ゼロという財政目標を達成しています。また、主な支出結果が多かれ少なかれ288億レアルの許容範囲内にある場合、目標は達成されたとみなされます。

 予算ガイドライン法によると、2024 年に予定されている支出総額は5兆4000億レアルで、このうち連邦公的債務の借り換えを除き、2兆レアルが財政予算に振り向けられます。

 主な省の予算は社会保障省: 9,297億レアル、開発・社会援助・家族・飢餓との戦い省:2,819億レアル、保健省: 2,320億レアル、教育省: 1,810億レアル、国防省: 1,264億レアルとなっています。

ペルーで冷蔵庫の裏にマリファナ栽培温室を発見

 「冷蔵庫の扉を開けると奥には秘密のマリファナ栽培部屋が広がっていた」とブラジルのメディアが報じています。報道によると、ペルー警察は16日、首都リマ近郊のカヤオで、冷蔵庫のドアを開けた奥にマリファナ栽培の温室を発見しました。警察によると、冷蔵庫の扉はマリファナ部屋への「秘密の通路」入り口になっており、奥にはマリファナを育てるスペースが広がっていました。

 調べによると、部屋にはマリファナの匂いを隠す道具や機材が揃っており、近所の人は匂いや騒音に気づきませんでした。入口になる冷蔵庫は壁に固定され、背面は取り外されていました。冷蔵庫の扉を開けて入った温室では、106本の大麻草が栽培されていました。

 偽装して大麻草を栽培していたのは39歳の男で、武器の不法所持で逮捕歴がありました。犯人は8年から15年の懲役刑が科せられることになります。大麻は、何千年も前にアジアで生まれ、一般にマリファナと呼ばれるようになった植物です。また、大麻属には、サティバ、インディカ、ルデラリスの3種類があり、人気があるのはサティバ、インディカの2種です。

パレスチナ人のテロでブラジル人が負傷

 パレスチナ人2人がイスラエルのラーナナ市でテロ攻撃、ブラジル人が負傷しました。
 ブラジルのメディアによると、攻撃されたのは15日で、女性1人が死亡し約20人が負傷しました。外務省は16日、負傷した中にブラジル人男性がいると発表しました。負傷した男性の健康状態は安定しているということです。

 サンパウロ州ユダヤ連盟によると、事件のあったラーナナ市にはブラジル人の大きなコミュニティがあるそうです。通信者によると、容疑者のパレスチナ人2人は盗んだ車で人々をはね、死傷させました。2人はすでに逮捕されています。警察の調べで2人は、被占領ヨルダン川西岸地区の都市ヘブロンの出身で、イスラエルには不法入国していました。

ドミニカ共和国税関でフリオ・イグレシアスを一時拘束

 ブラジルのメディアによると、世界的に有名な歌手、フリオ・イグレシアスが10日、ドミニカ共和国のプンタ・カナ空港に着いたた際、42kgの食料が入ったスーツケースを没収され、拘束されました。この情報はスペインのテレビ番組「フィエスタ」によって報じられ、一気に各地へ広まりましたました。

 イグレシアスのスーツケースには、果物や野菜など約42キログラムの食料が詰め込まれていました。入っていたのはルッコラ、イチゴ、マッシュルーム、トマト、ほうれん草、ラズベリーなどでした。食料品は警備員によって検査され、問題ないことが分かり、検査官の誤解として処理されました。

 もともとイグレシアスは荷物に食料品を詰め、持ち運んでいたと言います。ところがドミニカ共和国は農業の問題から、食料輸送には規制がかけられていました。こうしたことから生じた手違いで、同国のルイス・アビナデル大統領はイグレシアスに謝罪し、同国の事情を理解してほしいと述べました。

ペルーで発見された「地球外生命体ミイラ」の正体

 昨年10月にペルーのリマ空港で発見された2つの人形が「地球外生命体のミイラ」だと話題になりました。ブラジルのメディアがその後に行われた調査結果を報じ、人形は「動物の骨から作ったものだった」とミステリー話に終止符を打ちました。

 調査を行ったのはペルー文化省で、12日、法医学的調査の結果は動物の骨から作られた人形だったと発表しました。ペルーの法医学・法医学研究所の考古学者は記者会見で「要するに、簡単に言うと、それらは地球外生命体ではなく、新種でもありません」と述べ、「アンデスの伝統的な衣装を身にまとい、ミイラ化した遺体のように作られ人形だった」と断定しました。

 長さ約60センチの2体の小像は、リマ空港の郵便局に段ボール箱に入れられていました。当時、一部のメディアは、エイリアンに繋がる可能性があるという推測記事を掲載したのもありましたが、考古学者はこれに「これは完全に作り話だ」と反論しました。

 昨年9月、メキシコ議会の公聴会で、細長い頭と3本指の手を持つ2つの小さなミイラ化した遺体が提示され、広くメディアで取り上げられたことがありました。メキシコのジャーナリストでUFO愛好家が「これらの遺体は約1,000年前のもので、2017年にペルーで回収された。これまでの種類とは違っている」と主張していましたが、ほとんどの専門家は「これは詐欺だ」と指摘し、「古代の人間のミイラと動物の部位が組み合わせて作られたものだ。はっきりしているのは、材料は地球上のもだ」と地球外説を否定していました。

 ペルーで記者会見を行った専門家は、空港で発見された人形がメキシコで提示された遺体と関連しているかどうかについては言及しませんでしたが、「メキシコの遺体も地球外生命体ではない」と強調しました。

エクアドルで犯罪組織が暴動

 南米エクアドルで犯罪組織の暴力沙汰がエスカレート、政府は「内戦状態」を宣言しました。ブラジルのメディアによると、犯罪組織ロス・チョネロス・グループの責任者フィトが8日、刑務所から脱獄した後、刑務所の看守や警察官が殺害され、警察近くには爆発物が投げ込まれ、テレビ局スタジオに乱入し発砲するなど犯罪組織の暴力沙汰が拡大、同国のダニエル・ノボア大統領は9日になって非常事態を宣言しました。

 非常事態宣言で大統領は陸軍と警察に武力で犯罪組織を無力化するよう命じました。市民に対しては午後11時から午前5時までの夜間外出禁止令が出されています。大統領官邸と地下鉄の各駅も警備が強化されました。警察は9日、司法長官暗殺計画の疑いで犯罪組織の指導者を逮捕しています。

 マチャラ市、キト市、ロスリオス県では誘拐事件が起きており、誘拐された中にはブラジル人も含まれている可能性があり、ブラジル外務省は、この事件を注視していると述べています。エクアドルの新聞によると、犯罪者がグアヤキルの大学に侵入し授業が中断される事件も起きています。エクアドル文部科学省は、12日まで全国の学校で対面授業を停止しました。

 ノボア大統領は36歳で、エクアドル最年少の大統領です。同大統領はコロンビアやメキシコの犯罪組織とつながりのある麻薬ギャングを取り締まるという公約を掲げ、10月に当選していました。今回の暴動は、ノボア政権に反発して起きたと見られています。世界最大のコカイン生産国であるコロンビアとペルーの間に位置するエクアドルは麻薬戦争の拠点となっています。 2023年は7,800件以上の殺人事件が起き、220トンの麻薬が押収され、人口1,700万人のエクアドルで最悪の記録になりました。

リオデジャネイロで6歳の男の子が行方不明

 ブラジルのメディアによると、6歳の男の子が4日、リオ西地区のバラ・ダ・チジュカ・ビーチで行方不明になり、警察と消防署が少年の捜索を続けていますが、7日になっても行方は不明のままです。警察は、この日遊泳禁止になるほど海が荒れていたことから「男の子は溺死の可能性も捨てきれない」としています。

 男の名前はエドソン・デイヴィといい、屋台の店を経営している父親と一緒にビーチに来ていました。デイヴィくんは父親に「ボディーボードを借りてほしい」と頼んでいましたが、海が荒れていることから借りてあげませんでした。その後、父親とキオスクでアサイーを買い、ひとりで遊歩道から砂浜へ行ったところまで判っています。

 子どもの母親と叔母が最後にいたと思われるボール遊びしていた砂浜に行きましたが、何の手がかりもありませんでした。家族は、誘拐されたのではないかと危惧しています。海岸の監視員によると、同日、子どもは海岸で一人で遊びにきており、水に入らないように注意したといいます。こうしたこともあり警察は、波に攫われた可能性も否定していません。

  溺死の可能性もあることから消防署は、海上の捜索も行っています。ただ家族は、別の男に連れ去られた可能性があると考えています。

ブラジルで「客室乗務員の沈着な誘導が乗客を救った」と報道

 ブラジルのメディアが2日に起きた羽田の旅客機火災について、乗客、乗務員379人を救ったのは何だったのか、ということについて報じています。メディアは、敏捷な客室乗務員、従順な乗客、難燃性素材で作られた超近代的飛行機が乗客を救ったと指摘しています。

 メディアはまず、客室乗務員の模範的な緊急手順に従ったパニックコントロールを上げます。客室乗務員は飛行機が停止すると乗客に「落ち着いてほしい」と呼びかけ、機内はすぐに煙で充満しましたが、外を見てすぐに状況を確認し、8つの非常口のうちどれが安全に使用できるかを判断した、と訓練どおりの的確な動きを称賛します。

 事故に見舞われたエアバスの広報担当者も、「日本航空の客室乗務員の模範的な避難誘導は高く評価される」と話しています。そして客室乗務員の的確な判断に加え、乗客が客室乗務員の指示に従順に従ったことを指摘します。日本航空担当者も、8人の未就学児を含む乗客の落ち着いた避難ぶりを称賛していると報じています。

 ついでエアバスA350は、疲労しにくく、メンテナンスが簡単な軽量カーボン複合材を53%(胴体、尾翼と主翼の大部分、前方部分の一部など)に使用しています。専門家は「構造が無傷のまますべての乗客と乗組員が安全に避難出来たのはカーボン複合材だったから」と話します。アルミニウムは摂氏約600度で溶けて熱を伝導しまが、炭素繊維は約6倍高い温度に耐えることができ、溶けなくてくすぶって燃えるといいます。このため乗客は、火が回る前に脱出できた、と指摘します。

 メディアは、「とにかく乗客、乗員が無事だったのは第一に乗務員の冷静な対応だった」と指摘しています。

ブラジル、ベネズエラとの国境警備を強化

 ブラジルのメディアによると、ガイアナベネズエラのエセキボ地域をめぐる緊張の高まりを受け、ベネズエラと国境を接するロライマ州ボアビスタ市に2日、国境の治安強化のため陸軍装甲車16台が配置されました。車両は12月6日にパラナ州から移動を開始、川と陸路で約6,000キロを旅してきました。

 ブラジル政府は「ベネズエラガイアナを侵略するためにブラジル領土を使用することを許さない」と述べ、ガイアナの領土の一部を併合するというベネズエラマドゥロ大統領の動きを牽制、政府は「選挙が近いことによる政治的策略」との見方を表明していました。

 昨年11月、ブラジル国防省は、豊富な資源が埋蔵しているとされるエセキボ地域をめぐるガイアナベネズエラの紛争が激化してきたため、ロライマ州の国境地帯警備を強化するため車両、兵員を増強してきました。

 ガイアナには原油110億バレルの埋蔵量があると推定され、原油はエセキボ近くの海上に埋蔵してるとされています。石油のおかげでガイアナは、南米で近年最も急速に成長している国です。