中南米の最新情報

NPOチャレンジブラジルが、ブラジルを中心に中南米のニュースをお届けします。

ブラジル国境の町で飢えるベネズエラ難民

 ブラジルのメディア29日付によると、ベネズエラを逃れブラジルのロライマ州に避難してきたベネズエラ人は飢え、路上で生活しています。連邦政府は夜にのみ食料を提供し、1人あたり5リットルの水を配っていますが、とても飢えを癒やす量とは言えません。

 ベネズエラとの国境に近いパカライマ市で避難民の家族は、衛生状態が悪い上に食糧も少なく、睡眠場所もないため、路上で1日を過ごしています。彼らは秘密ルートを経由してパカライマ市に入り、移民として正式な手続きをするために長い列に並んでいます。連邦政府が6月24日に外国人の入国を緩和してから、その数が目立つようになりました。

 陸軍の機動部隊がベネズエラの移民と難民にサービスを提供しており、新しく到着した移民には夜間避難所、食料も提供しています。しかし、国境での外国人の入国が増え、受付・身分証明書の窓口での1日あたりの扱いが80件から300件に急増、サービスが間に合っていないのが実情です。現在政府は、パカライマ市に入ったベネズエラ人の数を発表していません。

 在伯ベネズエラ大使館は、入国するベネズエラ人の平均は1日あたり300人から800人としています。ベネズエラには二人の大統領がいますが、同大使館は反大統領派で野党指導者のフアングアイド大統領(大統領を宣言)の意を受けています。連邦政府は、こちらを大使館として認めています。

メキシコを再び襲ったハリケーン

 ブラジルのメディアによると、米国国立ハリケーンセンターが28日、「ハリケーン・ノラがメキシコのハリスコ州で発生し、メキシコ太平洋岸の近くにとどまっている」と発表しました。メキシコ当局は、これまでのところ死傷者の報告はないとしています。

 メキシコは21日、別のハリケーン「グレース」に襲われ、少なくとも11人の犠牲者が報告されています。「ノラ」は暴風を伴い、時速22kmで北に移動しています。今後数時間はメキシコの海岸近くを移動し、その後メキシコ湾に出て海岸と平行に移動すると見られています。

アフガンからブラジル人救出

 ブラジルのメディアによると、ブラジル外務省は27日、ブラジル国籍を持たないブラジル人とその家族をアフガニスタンから避難させた、と発表しました。

 同外務省は「救出したのは、スペインとドイツ両政府が仕立てた飛行機に同乗、カブールからマドリッドへ避難した。外交努力の結果だ」と述べています。

 救出された人の身元、救出人数などはまだ明らかにされていません。親類、知人などがアフガニスタンに残り、救出を待っている可能性があり、タリバーンの攻撃から守るためです。

ブラジルのコロナ死者、最低を記録

 ブラジルのメディアコンソーシアム26日の新型コロナ現状調査によると、累積死亡者が577,605人を記録しました。新規の死亡者は875人で、過去7日間の死亡者の移動平均は696人でした。これはパンデミック開始以来の最低値です。これまでの最低平均は1月3日の698人でした。

 一方、累積感染者は20,675,343人で、新規の感染者は30,288人でした。これにより過去7日間の移動平均は1日あたり25,904人となり、11月13日の25,599人以来最低になりました。死亡者、感染者ともに減少傾向にあります。

 州別の死者を見ると、リオデジャネイロ州は増加傾向にあり、パラナ州サンパウロ州は減少しています。また、ワクチンの接種率は26日現在、1回接種者は60%を超え、2回接種を終えた人は28%になりました。

11月、ブラジルはエネルギー危機?

 ブラジルのメディアによると、連邦政府は25日、電力消費量を最大20%削減するという目標を定めた大統領令を発表、同時に電力を節約した消費者向けの「賞」も発表しました。

 この賞は、電力を節約した住宅、地方、商業、産業の消費者に対して与えられます。どういった賞になるかは未定で、詳細は9月に発表されます。

 電力消費削減令が出されたのは、心配される水不足のためで、電気部門監視委員会が24日、国のエネルギー状況が「悪化している」との報告を受けてのものです。連邦公的機関は2021年9月から2022年4月までにエネルギー消費量を10%から20%削減することを求められています。

 国は1991年、最悪の水危機に直面しました。エネルギーを生み出す70%を占めるのが南東部、中西部の貯水池ですが、ここが23%の貯蔵量まで減少したのです。監視委員会は今年度も、このままでは水不足で10月、主に11月のエネルギー需要を満たすのは困難としています。

ブラジルの研究でも3回目の接種を勧める

 ブラジルのメディア24日付によると、サンパウロ大学医学部などの研究で、中国製ワクチン「コロナバック」を接種した55歳以上の人は3回目の接種が必要とわかりました。英国での研究でも、2回の接種ではファイザーアストラゼネカのワクチンの感染予防効果が低下するとしています。特にデルタ変異株に対しては効力の低下が発表されています。

 「コロナバック」はブラジルで新型コロナ用の最初のワクチンで、早期の摂取が必要と考えられた高齢者と医療専門家に使用されました。この人達は3回目の摂取が必要とされています。

 研究によると、自然感染から回復した55歳以上の人々は、ワクチン接種を受けた同じ年齢の個人よりもウイルス感染に対する抗体が最大6倍多かった、との結果も発表しています。調査の結果では、ワクチン接種を受けた人の95%がT細胞を持っており、感染細胞やコロナウイルスを除去する抗体に関与しており、ウイルスに感染して回復した人の場合、この割合は99%に上昇していました。

 ただ、防御率は55歳を超えると低下しますが、ある程度の防御力はあります。つまり、ワクチン接種後にウイルスに対して防御されていないわけではありません。

ブラジルのコロナ死者、58万人

 ブラジルのメディアコンソーシアムの調査によると、パンデミックの開始以来、23日に574,944人の累積死亡者を記録しました。1日の死者は370人で、7日間の移動平均死者は766人でした。14日前の平均と比べ15%減で、死者は横ばいの傾向です。メディアの報道です。

 一方、累積感染者は20,583,286人になり、1日の新規感染者は15,364人でした。7日間の1日あたり平均感染者は29,186人で、14日前と比べ10%の減少です。こちらも横ばいになっています。

 洲の死者を見ると、増加はアクレ州だけで、リオ州、サンパウロ州は横ばい、パラナ州は減少しました。

 またワクチン接種は、人口の27%が2回の接種を終えました。1回だけの接種者は6割近くに達しています。ワクチンの普及が感染者、死者の横ばい、もしくは減少につながっているようです。

ボルソナロ大統領の判事罷免要求に各界で反対意見

 ブラジルのメディアによると、ボルソナロ大統領が20日最高裁のモラエス判事罷免要求を上院に提出した件で、10党が22日、民主主義を維持するためモラエス判事の支持を表明しました。同時に、大統領の非難の的になっているバローゾ判事の支持も表明しています。

 支持表明の共同署名文書ではモラエス判事の行動について、「民主主義では当然のことであり、このような深刻な社会経済危機の時に、依然として政情不安と権威主義の亡霊に対処しなければならないことは残念だ」と述べています。

 ボルソナロ政府に反対する7政党も、「最高裁判事は基本的権利と自由を保証する責任があり、身体的および道徳的に保護されなければならない」と断言、判事を支持しています。

 この他、10人の元法務大臣と国防相が、「罷免要求を拒否するようパチェコ上院議長に求める」と意見表明しました。また、ルラ、ジルマ、テメル各政権に参加した元大臣たちも、モラエス判事罷免に反対しています。

メキシコにハリケーン襲来

 ブラジルのメディアによると、17日にジャマイカキューバの間にあった熱帯暴風雨「グレース」が20日、ハリケーンに成長したと米国国立ハリケーンセンターが発表しました。時速195kmの強風を伴う凶暴化した「グレース」は22日にはメキシコを襲う動きを見せています。

 「グレース」は19日にメキシコのカリブ海沿岸を襲って樹木を倒し、70万人近くが停電に遭いました。21日にはメキシコ湾から150 kmのところにあり、22日には再びメキシコを襲い、ベラクルス州海域を通過する予定です。同地域には製油所を含む石油施設があり、被害が心配されています。

 メキシコの市民防衛庁は、「十分に警戒してほしい」と国民に呼びかけています。

ブラジル最高裁、大統領の要請を拒否

 ブラジルのメディアによると、最高裁判所20日、ボルソナロ大統領のモラエス判事罷免要求を拒否しました。最高裁は拒否の理由を、「民主的な法の下では、裁判官が適正な法的手続きに従い、適切な尋問を行うことで告発されることは容認できない」と述べています。

 大統領に対する「偽のニュースの流布と当局への攻撃を行った疑問を解明する調査は、裁判所の本会議ですでに承認されている」と最高裁は強調しています。続けて、「モラエス判事の独立性と公平性を全面的な信頼する」と述べています。

 最高裁のかつての高官も、「大統領のやり方は犯罪に近い。大統領のモラエス判事罷免要求は正当な理由や根拠がなく、彼は独立し、責任を負い、法を厳密に遵守し、職務を遂行している」と断言しています。

 大統領は14日の時点では、モラエス、バロス両判事の罷免を要求するとしていましたが、20日に提出された要求書ではモラエス判事だけをやり玉に挙げ、最高裁判事の解任と8年間公務につくことを禁止するよう要請しています。