中南米の最新情報

NPOチャレンジブラジルが、ブラジルを中心に中南米のニュースをお届けします。

ワクチン接種の効果は3カ月

 ブラジルのメディア19日付によると、オックスフォード大学の研究では、新型コロナウイルスのデルタ変異株に対するファイザー-、アストラゼネカ両ワクチンの有効性が、2回接種の90日後に減少すると明らかにしました。

 研究者は、ファイザー・ワクチンの感染予防効果は75%に低下し、アストラゼネカの効果も61%に低下したことを確認しました。この研究は英国で人々の鼻と喉から収集した資料で実施され、300万以上のサンプルを元に調査されました。ワクチン有効性の低下は、35歳以上の人々の間で特に顕著でした。

 オックスフォードの調査結果は、米国疾病予防管理センターの分析と一致しており、米国政府はワクチンの効力が時間経過とともに衰えるとして、来月からコロナワクチンの追加接種を始める予定です。

 イスラエルは、デルタ変異株感染症の急増、その抑制のために7月からファイザーワクチンの3回目の接種を開始しています。ヨーロッパの国でも、高齢者や免疫力が低下している人への追加接種を始める国が出始めると予想されます。

ブラジル保健相、マスク着用を疑問視

 ブラジルのメディアによると、ケイロガ保健相は18日、新型コロナ予防にマスク着用が常識になっていることに疑問を示し、医師と科学者から批判されています。

 保健相は「多くの法律があるが、残念ながら人々はそれらを遵守していルトは言えない。マスクの使用は各自が自覚して行う必要がある。不着用者に罰金を科す意味はない」とマスクの強制使用に反対を表明しました。

 感染症の専門家は「こうした認識がパンデミック制御の妨げになる」と指摘、保健相を批判しています。

ブラジル大統領の判事罷免要求に上院議長が難色

 ブラジルのメディアによると、ボルソナロ大統領が上院に最高裁バローゾ判事とモラエス判事の罷免を要請すると話した件で、ロドリゴパチェコ上院議長は17日、最高裁判事弾劾について議論を進めることはなじまないという考えを表明しました。

 最高裁2名の判事の罷免要求はすでに上院に提出されています。パチェコ上院議長は「この要求には正当な理由がないと理解している」と述べ、罷免要求についての議論を進める意思がないとしています。

 上院議長は罷免を求める前に、行政、司法のトップは話し合い、「ブラジル社会の平和ためにはどうすればよいかを考えてほしい」と語りました。

ブラジル両院議長、民主主義を擁護

 ブラジルのメディアによると、ボルソナロ大統領が最高裁判事などの攻撃を続けている件で、アーサー・リラ下院議長、ロドリゴパチェコ上院議長は16日、名指しは避けながらも、ソーシャルネットワークで「民主主義と権力の独立を擁護する」という姿勢を表明しました。

 リラ下院議長は、「国は、より多くの仕事とより少ない混乱を必要としている」と指摘し、パチェコ上院議長は、「ドアを閉めることと橋を壊すことは国にとっ不利益」と述べ、婉曲的に大統領を非難しました。

 ボルソナロ大統領は、最高裁判所と高等選挙裁判所で調査の対象とされた後、両裁判所の判事などを攻撃し、判事に対し訴訟を起こすと息巻いています。これに対し14人の知事は16日、最高裁判所支持を表明する文書に署名しました。

 パチェコ上院議長は、「愛国者はブラジルを分裂させたい人々ではなく、団結する人々である。そして民主主義の達成された議会は活発な討論を行っている」と述べています。

ハイチ地震の死者1300人に増加

 ブラジルのメディアによると、14日にハイチを襲った強い地震の被害が拡大しています。ハイチ当局は15日、死者は1,297人に上り、負傷者は2,800人以上、倒壊建物も3,000棟近くと発表しました。15日にはマグニチュード5.9の余震も起きています。

 震源地に近い同国南部の都市では、2,868棟の建物が破壊し、5,410棟が部分的に損傷、病院は怪我人で溢れ治療が限界に達しています。道路の破壊や障害物が除去されていないため、犠牲者を支援する重要な物資が輸送できなくなっています。

 ハイチは人工1,130万人で、カリブ海イスパニョーラ島ドミニカ共和国と国境を接しています。世界で最も貧しい国の一つと言われています。食糧不足と暴力の増加という人道的危機が高まる中で、7月、同国のモイーズ大統領が暗殺されるという事件が起きました。そして今回、大地震に見舞われ、国内の混乱が続いています。

ハイチを襲った地震で304人死亡

 ブラジルのメディアによると、カリブ海の島国ハイチを14日、マグニチュード7.2の地震が襲い、304人がハ死亡しました。同地震ドミニカ共和国、ジャマイカキューバでも感じられました。ハイチ当局は津波警報も出しましたが、津波は起きませんでした。

 同国はモイーズ大統領が暗殺され、新首相にアリエル・アンリ氏が就任したばかりです。同首相は30日間の非常事態を宣言し、「犠牲者の支援に全力を尽くす」と述べました。

 震源地は首都ポルトープランスから約150 km離れたハイチの西側で、そこの都市の被害が大きくなっています。米国地質調査所によると、強い揺れはドミニカ共和国キューバ、ジャマイカでも感じられたとしています。

 ポルトープランス在住のナオミ・ヴェルヌス氏はAP通信に、「地震の際は眠っていたが、ベッドが揺れて目が覚めた。2010年の地震のことを思い出し、靴を履く時間すらないほど慌てた」と語っています。

 ジョー・バイデン米国大統領は直ちにハイチへの援助開始を承認し、米国国際開発庁幹部を支援チームの責任者に任命しました。

ブラジルの著名な司会者が新型コロナで入院

 ブラジルのメディアによると、テレビ業界で最も有名な番組司会者のシルビオ・サントスさん(90歳)が13日、新型コロナ感染の疑いでサンパウロ市内の病院に入院しました。娘のパトリシア・アブラバネルさんがソーシャルネットワークを通じ、「父は元気で、遊んだり、冗談を言ったりしている。検査のために入院しただけ」と説明しています。

 サントスさんは3月にコロナ・ワクチンの2回の接種を終えています。このため病院側は、彼の年齢と頻繁な検査をする必要性から入院の処置を取りました。パトリシアさんは「2回接種していても感染しないわけではない。深刻な状態になる可能性が減少する」との説明を受けたと話しています。

 感染学者はワクチンを2回接種すれば、「感染、入院、死亡のリスクを軽減する」としています。パトリシアさんも「父は元気で、検査結果も良好」と話しています。

ボルソナロ大統領の疑惑調査開始

 ブラジルのメディアによると、ボルソナロ大統領の機密情報漏洩に関する調査が12日に開始されたことで、大統領は最高裁判所で4件、上級選挙裁判所で1件の調査をされることになりました。調査は始まりましたが、大統領は裁判所に起訴されているわけではなく、現段階では被告とは見なされていません。

 大統領が調査されるのは、最高裁ではデータ漏えい、連邦警察の調査に干渉、電子投票機への批判、コバキシン・ワクチン交渉での不正行為といった4件の疑惑で、選挙裁判所では証拠もなしに電子投票システムを攻撃したとして行政調査が行われます。

 現段階では、目撃者からの聞き取りといった証拠集めが中心で、最高裁の判断が必要な犯罪かどうかを見極める調査です。したがって大統領はまだ、被告人ではありません。

 大統領が被告になるのは、国会で513人の議員のうち342人以上が賛成し大統領非難決議が行われ、この案件を最高裁が受け付けたときです。国会を通過すれば、最高裁が大統領の疑惑を審理するかどうかが残された課題です。

東京五輪の珍事をブラジルでも報道

 ブラジルのメディアは12日付で、名古屋市を表敬訪問した五輪メダリストの金メダルを河村たかし市長が噛み、大勢の人から批判され、齧られた金メダルは新しいものに交換されると報じてています。この事件は米国でも珍事として報道されました。

 報道によると、表敬訪問したのはソフトボールの後藤希友選手(トヨタ自動車所属)で、河村市長は金メダルを首にかけて写真を取りたいと要望、首にかけてもらった金メダルを齧ったものです。

 東京オリンピック組織委員会は12日、「国際オリンピック委員会IOC)の支援を得て、後藤さんの希望に応じて、メダルを新しいメダルに交換する」と発表しました。後藤さんが所属するトヨタ自動車もこの事件に不快感を示し、「プレーヤーの業績に対する敬意の欠如」と述べたと伝えられています。

ブラジルのコロナ禍、頂上を過ぎたか

 ブラジルのメディアコンソーシアム11日の新型コロナ禍現状調査によると、累積死亡者566,013人(1日の死亡者1,123人)、累積感染者20,249,176人(1日の感染者35,788人)となりました。

 感染者7日間の1日移動平均を見ると、25%から32%の減少幅で推移しており、減少傾向が顕著になっています。1日平均が最悪の頃は7万7千件を記録したこともありました。

 死亡者も過去7日間の移動平均は900人で、12日連続で、平均が1,000人を下回っています。14日前の平均と比べても16%減であり、死者も減リ始めました。3月17日から5月10日には、55日連続で移動平均は2,000人を超えていました。

 この日、日系人の多いサンパウロ州の死者は横ばいで、観光客の多いリオ州と日系人の多いパラナ州は減少しています。