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ラテンアメリカに必要な「ブルーエコノミー」

 ブラジルのメディア16日付が、BBC Newsを引用して「ブルーエコノミー」の重要性について報じています。ブルーエコノミーとは「海洋資源の持続可能な利用」を指した海洋経済のことで、ベルギーの経済学者ギュンター・パウリ氏が唱えている概念で、同氏は海洋は世界最大の生態系であり、地表の 70% を覆い、私たちが呼吸する酸素の 50% を供給、最大の天然炭素貯蔵庫だと説明します。

 地球の生態家の問題では現在、二酸化炭素を減少するグリーン経済が注目されていますが、パウリ氏は「これは価格が高い生産システムを生み出し、環境に優しいものはすべて高価。これでは裕福な人だけがお金を払える経済に過ぎない」と述べ、ブルーエコノミーの重要性を指摘します。

 ブルーエコノミーに含まれるのは、海運、漁業、再生可能エネルギー、港湾建設、沿岸観光、沿岸インフラなど、海と海に関連する仕事とすべてのサービスです。この海洋経済を一国の経済に例えれば、パウリ氏は「規模は世界で7番目の経済力」と指摘します。現在、漁業と水産養殖は世界経済に年間 1,000 億米ドルと約 2 億 6,000 万人の雇用をもたらしていると推定されるといいます。

 パウリ氏は「人々は自分たちに与えられたチャンスに気づいていない。人々はプラスチック汚染の問題、乱獲の問題、深海採掘の問題について問題を指摘するが、分析のみで実効性のある対策は取られていない」と語ります。そして同氏は「人口の70%が海沿いに住んでいるが、それを活用していない。人は海をゴミ捨て場として使っています。私たちは公海での漁業や採掘のことだけを考えており、それ以上は何も考えていない」といいます。

 そして同氏は「食料の獲得、エネルギーの獲得、飲料水の確保などを目的として、マングローブの再生、森の再生が必要で、それを実現する可能のある提案」を提示します。一例として、「ある島で風力発電で風車ではなく凧を使い、風が吹いているときだけでなく、1 日 24 時間エネルギーを生成できるようになった」と語ります。

 この他にも、食肉処理場の廃棄物から発生する養殖魚の餌としてハエの幼虫を飼育することなどを考案しているといいます。「ラテンアメリカでは、飲料水に関する深刻な問題がある。ブルーエコノミープロジェクトでは、飲料水の確保、再生可能エネルギーの確保、非常に簡単に生産できる藻類からのガスの確保など、短期間で基本的なニーズに対応することを重要視している」と付け加えています。