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ルーラ大統領は訪中を延期し、上下両院の対立解消を目指す

 ブラジルのメディアによると、ルーラ大統領は28日、肺炎の治療のため、26日に予定していた中国訪問を4月11日に変更しました。この日、大統領は大統領公邸でパチェコ上院議長と会談し、中国訪問団への参加を要請しました。会談は2時間近くに及び、上下両院で対立している法案処理手続きの問題を話し合ったとされています。

 上院と下院は、国会の法案処理ををめぐって意見が対立しています。法律では、政府から議会に送られた暫定措置は、下院議員と上院議員で構成される混合委員会で検討することが求められています。ところが現在、新型コロナの流行に迅速に対応するため、下院のみで処理できるよう変更されました。上院議員は「下院議員が決めたことをただゴム印で押すだけの存在になった」と不満を漏らしているのです。

 ルーラ大統領はセリック(政策金利)の引き下げで経済の活性化を目指しており、暫定措置を提出したいのですが、上下両院の対立で審議が進みません。上院は法律で規定の通り、両院議員で構成される混合委員会での検討を主張、下院は混合委員会の構成を上院議員よりも下院議員の数を多くする、混合委員会で期限内に結論が出なかった場合は下院本会議で直接採決することを主張、抵抗しています。

 会談後、パチェコ上院議長は「私たちは合意形成のために取り組んでいる。金利が非常に高いことは認識しており、金利をできるだけ早く下げる方法を見つけることの重要性もわかっている」と、セリックでは大統領と同じ考えと述べました。

 中央銀行法では、上院は大統領が任命する中央銀行の総裁と取締役を承認し、中央銀行総裁の解任には上院の承認を得なければならないと定められています。金利引下げに応じない中銀総裁の解任には上院の協力が不可欠なのです。上院議員たちは、下院での審議時間の長いことに不満を抱いています。下院議長府の調査によると、下院での国会議員の平均審議時間は2021年は87日、昨年は72日でした。