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混乱する政界、悪化する治安

 サンパウロからの連絡によると、下院議会でジルマ大統領の弾劾を進める採決が行われ、現在上院で審議中で、11日には弾劾裁判開廷へと進行する予定でした。これでジルマ大統領は職務停止となるはずでしたが、新たな問題が生じてきました。今まで下院議長を務めていたクーニャ議長が石油公団汚職連座し失脚、新しい下院議長が選出されました。この下院議長が下院での大統領弾劾決議を白紙に戻し、再度審議をすると言い出したのです。これには上院議長が反発、上院、下院両議会が対立するという新たな紛争が生まれました。これでブラジルは国会に止まらず、一般市民を巻き込んで騒然としてきました。
 国民は「これでは国際的な信用が失墜するのは間違いない」とあきれ返っています。中には「ブラジル人であることが恥かしく、海外へ脱出しようとする人が出てくるのではないか」といった声も聞かれます。

五輪盛り上がらず

 一方、国会の混乱ばかりが目立つブラジルでは、8月からのリオ五輪が一向に盛り上がりません。それどころか、治安が悪化するばかりです。7日夜には、リオのガレオン空港からリオ中心街へ向かっていた17歳の女性観光客(ブラジル人)が強盗に遭い、射殺されるという事件が起きました。女性はリーニャ・アマレロの道路(ガレオンから山の中を抜け、バーハ・ダ・チジュッカに抜ける道でオリンピックの主要道の一つ)を通行中に強盗に襲われたものです。
 オリンピック期間中は8万5000人者警備が出るのである程度治安は保たれるでしょうが、政治が機能していない今、オリンピック警備が始まるまではこうした事件が頻発するとの見方もあります。オリンピック期間中犯罪者はリオからはじき出され、サンパウロ、サルバドールといった周辺都市に流れ、周辺都市の治安悪化が心配されています。