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早くも始まったブラジル大統領選の攻防

 ブラジルのメディア29日付によると、ボルソナロ大統領は議員を動員しボルサ・ファミリアに代わる新社会保障制度(Auxílio Brasil)に充てる資金調達の途が開けるよう3日の下院で議決する予定ですが、上手く下院を通過しても上院で承認されるかは疑問視されています。このため大統領は上院を通過しない場合を想定し、プランBを準備しています。

 プランBは、11月に終了する緊急援助を延長し、その資金をAuxílio Brasilとして配る方法を計画しています。政府は、Auxílio Brasilの財政措置は下院を通過すると信じていますが、上院での議決は困難とみられています。このため政府はプランBを準備しているのです。しかし、援助される金はいくらか、何家族が支援を受けられかといった詳細は、まだ明らかになっていません。

PECが通過しない場合、政府はすでに新たな災害状態を布告し、11月に終了する緊急援助を延長することを検討しています。緊急援助は、パンデミックの際に社会的プログラムによって支援された家族を支援するために作成されました。援助が延長された場合、金額がいくらになるか、そして何家族が援助されるかについての詳細はまだありません。

 ボルソナロ大統領がAuxílio Brasilによる資金援助に拘るのは、来年の選挙戦を見据えてのことです。支持率が最悪のボルソナロ政府は、このままでは再選の可能性は低いと、援助資金の名の国民へのばらまきで人気回復を狙っています。

 ボルソナロ大統領の競争相手になる可能性のあるパチェコ氏は上院議長で、上院では審議、決議が行われる保障がありません。パチェコ上院議長サイドは、この案件が可決されれば現金がばらまかれ、大統領選挙が不利になると見ているからです。