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日系人が野球場で強盗に銃撃される

 ベテラーノ全伯野球大会(70歳以上)がサンパウロ市のボン・レチーロ野球場で開催されていた29日、大会に参加・観戦していた日本人及び日系選手たちの金品の入ったカバンなどが盗まれ、犯人を追跡した日本人選手の安形之光(あがた・ゆきみつ)さん(80、愛知県出身、ABCチーム所属)が強盗に拳銃で左脇腹を撃たれました。幸いに弾は貫通し、軽傷でした。当日の観戦者は「もう何十年もここ(ボン・レチーロ)に来ているが、こんな事件に遭うのは初めて」と話しており、今後の大会開催では警備強化などの措置が必要になりそうです。
 事件発生当時、安形さんの隣に座っていたジガンテ・チーム選手の大矢貞進さん(74、神奈川出身)によると、同球場の食堂付近のベンチに腰掛けて試合を観戦していたところ、突然ブラジル人の男(モレーノ)が大矢さんのポケットに手を突っ込んできました。男はポルトガル語で何かを言っていましたが、内容はよく聞き取れず、「ブリンカデーラ(冗談)だと思っていた」そうです。
 そのモレーノは別の試合観覧者のポケットにも手を突っ込み、突っ込まれた人が「何をするんだ」と振り向くと、刃物を持ち出しました。大矢さんは「そのファッカ(刃物)は紫色のプラスチックのオモチャに見えたので、まだ冗談だと思っていたよ」。ところが、1メートルほど離れていた別の男が「オモチャのような」(大矢さん)小型のピストルを出し、近くに置いていた荷物を盗みだしたので、「ラドロン(泥棒)!」と叫んだら、2人が荷物を持って逃げだしました。
 盗まれた中に安形さんの荷物も含まれていたため、安形さんが強盗を4メートルほど追いかけたところで、拳銃を持っていた男が振り向きざまに1発撃ち、その弾が安形さんの左脇腹を貫通して約7メートル先にあった車のタイヤに当たり、車はパンクしました。

犯人は4人

  強盗は4人で2人ずつに分かれ、1組が球場で盗みまわり、別グループは相撲土俵付近で警備をしていた警備員などを恐喝して金品を強奪しました。球場でカバンを盗んだ2人 組はそのまま逃走し、居合わせた人たちがすぐに警察と救急車を呼び、病院に運ばれた安形さんは軽傷と診断され、すぐに退院しました。
 被害に遭った安形さんの近くで試合を観戦していた高木オズワルドさん (66、2世)も、「最初は(強盗ではなく)遊びだと思った。以前にも知らぬ間に携帯電話が無くなっているなど、小さなコソドロの被害はあった。しかし、 もう何十年もこの球場に来ているが、強盗に遭ったのは初めてで、びっくりした」と話していました。
 1日になりサンベルナルド・ド・カンポ市在住の安形さんに体の状態を尋ねたところ、「病院で検査したが左のあばら骨は骨折していなく、何ともありません」と元気な口ぶりでした。