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スノーデン氏のブラジル亡命希望に政府は慎重

 地元メディアによると、ブラジル政府は7月に米国家安全保障局(NSA)の元技術職員エドワード・スノーデン氏から受けていた亡命申請に無回答を通していましたが、同氏がブラジル国民に向けて書いたという「手紙」を発表したことから、亡命受け入れに関する議論が再び浮上しています。現在のところ、ビジネスパートナーとしての米国政府を敵に回すことは避けたいという理由で、与野党共にスノーデン氏のブラジルへの亡命受け入れに反対が主流です。エドアルド・ブラガ上院議員(ブラジル民主運動党=PMDB)などは「スノーデン氏がどの程度ブラジルにとって重要な情報を持っているのかさえ分からない」と懐疑的な言葉を述べています。
 上院外交委員会のリカルド・フェラッソ委員長(PMDB)は亡命受け入れに賛成しています。同委員長は当時ボリビアの上院議員だったロヘル・モリナ氏のブラジルへの政治亡命の要請に対し、在ラパス・ブラジル大使館からブラジリアまでの越境移動に協力した経緯があります。スノーデン氏が持っている機密と引き換えの亡命受け入れは「ブラジルにとってまたとない機会。無駄にしてはいけない」と述べ、同じ考えの上院議員らと結束して18日中にもルイス・マシャド外相に亡命許可を要請するとしています。
 スノーデン氏はブラジル国民に向けて書いた手紙で、「自分や家族の命が危険に晒されることになることも分かっていたが、使命感からせざるを得なかった」と、米国による政府ぐるみのスパイ活動を告発した動機を語り、「サンパウロ市内であなたが携帯電話を持って歩けば、米国家安全保障局はあなたの居場所を突き止めることができ、フロリアノーポリス市で誰かがインターネットを使えば、開いたサイトで何時に何を行ったかを米国家安全保障局は記録できる。ポルト・アレグレ市である母親が大学入試へのエールを送るために息子の携帯電話に連絡をすれば、米国家安全保障局は通話記録を5年以上も保管することが可能だ」と述べ、スパイ活動を具体的に例示しています。