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ナイトクラブの火災、死者231人、負傷者127人

 リオ・グランデ・ド・スル州サンタ・マリア市のナイトクラブ(ボアッテ)で27日未明に火災で大勢の死傷者を出したニュースは日本でも報じられましたが、その詳細が分かりました。地元での報道によると、死者は231人、負傷者は127人でした。被害者の大半は大学生をはじめとする20代前後の若者でした。ブラジル国内では、503人の犠牲者を出した1961年のリオ州ニテロイ市のサーカス場火災に次ぐ大規模火災事故でした。
 火災が起きたのはサンタ・マリア市内の学生街にあるナイトクラブ「Kiss」で、当日は地元大学の新入生らによる貸し切りパーティーが開催されていました。合計1000人を収容できる店内には、600〜1000人が来店していました。
 27日午前2時30分ごろ、店内で演奏していたバンドが打ち上げ花火を放った際、火花が天井に張られていた遮音材シートに引火し、バンドのメンバーと警備員が消火を試みたましたが火の勢いは衰えず、燃え広がってしました。火災の発生で店内はパニックになり、炎や煙から逃れようと大勢の人が店内唯一の出入り口に殺到しました。店内は照明が暗く視界がきかなかったこともあり、多くの人がトイレを出入り口と間違えそこに詰めかけ、避難できませんでした。遺体の多くは出入り口やトイレ付近で折り重なるようにして発見され、犠牲者の90%が窒息死でした。
 店内には非常口がなく、緊急時の通路を示す看板すら設置されていませんでした。その上に出入り口を警備していた警備員が避難しようと押し掛けた人々を料金未払いの来店者だと勘違いし、ドアを開けずに退場を阻止したという証言もあり、このことも大事故につながった一因との見方も出ています。クラブ前の道路は狭く消火活動が難しい立地だったことも被害の拡大に繋がったようです。消防隊とボランティアによって出口を広げるために壁が壊されたましが、出口付近に遺体が集中していたため、迅速な救出活動が困難な状態でした。
 その後の調べで、同クラブは消防許可を含む営業許可証の有効期限が昨年8月に切れていたまま営業していました。地元警察は、火災などに備えた緊急事態対策を怠っていた容疑で、クラブの経営者と花火を使用したバンドメンバーら4人を逮捕しました。
 ジルマ大統領は、チリで開かれていたラテンアメリカ・カリブ首脳会議(Celac)に出席していましたが、3国との会議を急きょキャンセルして28日に帰国。その後、負傷者が搬送されたサンタ・マリア市の病院を訪れ、涙を流しながら追悼の意を表明しました。