中南米の最新情報

NPOチャレンジブラジルが、ブラジルを中心に中南米のニュースをお届けします。

国際競争力が72位に後退

 地元メディアによると、世界経済フォーラムが17日に公表した2018年版の「国際競争力レポート」でブラジルの競争力が、世界140カ国・地域の中の72位と前年よりも3ランク下がりました。同レポートでは世界市場とコミットせず、輸入関税が高く、労働市場の柔軟性の低さが指摘され、ブラジルの問題点としています。

 ラテンアメリカ諸国の中で最も競争力があるのは33位のチリで、メキシコ(46位)、ウルグアイ(53位)、コスタリカ(55位)、コロンビア(60位)、ペルー(63位)、パナマ(64位)と続いています。

 新興5カ国(BRICS)の中では中国(28位)が最も上位で、ロシア(43位)、インド(58位)、南アフリカ(67%)と続き、ブラジルは最下位でした。ランキング全体の上位5カ国を見ると、1~4位は米国、シンガポール、ドイツ、スイスと昨年とまったく同じ顔ぶれで、日本は昨年9位から5位に上昇しました。

危険走行で二輪車28台を押収

 地元メディアによれば、サンパウロ州軍警察は23日、サンパウロ市内の主要幹線道路の一つである「マルジナル・ピニェイロス」で制限速度を超える高速で危険走行をするオートバイ集団を摘発、オートバイ28台を押収しました。同集団は数カ月前から火曜日の夜に幹線道路で危険走行を繰り返し、開催日時などをSNSソーシャル・ネットワーキングサービス)上で告知していました。警察は2カ月前から、SNSの内容を監視していました。

 軍警は23日に危険走行集団を一斉摘発し、イベントに参加するためガソリンスタンドなどに集まっていた74人のライダーに対し職務質問を実施、整備状態が悪かったオートバイ28台を押収したほか、無免許運転などの違反で141件の違反切符を切りました。集まっていたライダーは違反者を捕捉するレーダーから逃れるため、ナンバープレートが見えないよう細工をしていました。

大気汚染で毎日18人死ぬと警告=パウリスタ医科大学=

 地元メディアによると、健康・持続可能性研究所とパウリスタ医科大学が24日発表した調査結果で、現在の大気汚染レベルがこのまま続くと、大サンパウロ都市圏(サンパウロ市を中心とする39市)の住民が2025年までに、5万1000人以上が命を落とすと指摘しました。これは年間6400人、1日当たり18人が死亡することを意味しています。

 雨が空気を浄化していますが、サンパウロ市内では車やオートバイの排気ガスの量は浄化速度を上回り、大気汚染が進んでいます。これが呼吸器疾患をより悪化させる方向に作用しています。

 調査した医師は、「25年までは毎日11人の患者が呼吸器疾患や心血管疾患、肺がんで入院する可能性がある」と述べ、大気汚染研究者も、「サンパウロの大気汚染は交通事故の2倍、乳がんの5倍、後天性免疫不全症候群エイズ)の7倍の死者を生む」と警告しています。

時計が一時間進み大混乱

 アジェンシア・ブラジルによると、21日深夜0時に携帯電話やコンピューターの時間が急に、一時間進む夏時間に変更され、予期しない事態に大混乱が起きました。夏時間の実施は11月4日からです。寝ぼけ眼で携帯電話に表示されている時間を見て、「ええ、もうこんな時間」と飛び起きた人も少なくありませんでした。

 これは夏時間の導入日が何度も変更されたことと、ソーシャルネットワーク・オペレーターのミスが重なり起きたもので、使用者は非難と同時に、「夏時間前倒し」といったジョーク飛ばすなど話題にして盛り上がっています。

 昨年末、夏時間が延期されることが決まりましたが、通信オペレーターが自動プログラム修正をしていなかったことが原因です。夏時間開始の変更は、統一選挙を考慮し選挙最高裁判所がテメル大統領に要請、11月4日からになりました。夏時間が変更されなければ、大統領選挙及び13州と連邦直轄区の知事選の決選投票が実施される28日には、ブラジリアとアクレ市との時差が2時間になるところでした。

通信業者TIMも失態

 先週、通信業者TIMの顧客の端末でも同じ問題が生じました。TIMはシステム上の問題で、スマートフォンの一部のモデルで時間が進んでしまったとしてています。TIMは、不備を認め、顧客に詫びました。

 夏時間開始について大統領官邸は当初、国家高等教育試験と重なるため、11月18日に開始すると発表しましたが、すぐに取り消しました。このように夏時間の導入日がくるくると変わり、混乱を招いたことは否めません。

教会の献金3万レアルが盗難

 フォーリャ紙によると、16日、サンパウロ州ヴァーレ・ド・リベイラ地方で、3箇所のカトリック教会から献金3万レアルが盗まれました。地域の小教区を担当するレジストロ市(サンパウロ市から188キロ地点)の司教区が明らかにしました。その他にイグアッペ市の教会でも盗難未遂事件が起きています。

 盗みの手口は、ドアノブを鋸でカットし、ペンチで鍵を壊し、金庫の鍵を解錠していました。民事警察は、手口が似ていることから、単独で3都市を車で移動しながら犯行を繰り返した可能性があると見ています。犯人は、この種の犯罪で経験を積んでおり、犯行に至る前に教会の様子を事前調査したと推測しています。

 教会の牧師は、「犯行の大胆さに驚いている。これからはセキュリティーシステムを導入したい」と語っています。

ショッピングモールの売上げ好調

 国内メディアによると、ブラジルのショッピングモール業界全体の8月の売上高が「父の日」絡みの販売と各種割引セールで、昨年同月比8.6%、前月比1.1%、それぞれ増加しました。ブラジル・ショッピングセンター協会が5日発表したものです。

 8月のモールの売上高は路面店売上高の伸び(前年同月比7.8%)を上回っています。特に伸びが大きかったのは13.3%増の衣料品で、香水、家庭用品、電話、各種雑貨がそれに続いています。

 今年1~8月のモール業界の売上高は昨年同時期比で3.8%増加しており、同協会は、「不確実性が増している政治環境にも関わらず売上げの伸びは、今年売上げの底上げを予想させる。モール業界の業績は累計で大体4%増大しており、今年の年間業績は前年を5~6%上回りそうだ」と説明しました。

出生率は減少傾向

 国連人口基金世界人口状況レポートで、ブラジル人家庭の子どもは平均1.7人と判りました。1960年代は6人でした。現在のブラジル人家庭出生率は、ラテンアメリカ(平均2人)と世界(平均2.5人)よりも低くなっています。エスタード紙が17日に報じたものです。

 調査では、ブラジルが南米とカリブ地域の11カ国(ドミニカ共和国コスタリカエルサルバドル、メキシコ、ニカラグア、アルゼンチン、チリ、コロンビア、ペルー、ウルグアイベネズエラ)と比べた出生率は最低になっています。ブラジル人女性の初産は平均26歳。出生率が低いチリ、エルサルバドル出生率1.76人)とほぼ同率でした。

人口も減少傾向

 ブラジルの人口は、今後30年間は2億300万人程度で推移すると予想されています。ブラジル地理統計院は、2047年からは徐々に減少し、2060年には2億2830万人程度まで減少すると見ています。この頃になると、65歳以上の高齢者が人口の4分の1を占めているともしています。

下院議員に女性、黒人、褐色人が増加

 エスタード紙の報道によると、下院議員選挙で過去20年で最も多い52%の議員が入れ替わり、議員の平均年齢が若くなりました。同時に女性や黒人・褐色人も増加しました。当選者には軍と関係する議員も増えましたが、多くはこれまでと変わらず政治家、企業家、弁護士です。

 下院選で初当選した243人のうち約5分の1が35歳以下で、24歳以下が6人もいます。24歳以下の当選者は、2014年の前回選挙と比べ3倍に増えました。キン・カタギリ氏(22歳、民主党)、ジョアン・カンポス氏(24歳、ブラジル社会党)は高得票での当選です。

 今回の選挙で下院議員の平均年齢は14年選挙時の50歳から49歳に下がりました。年齢の高い下院議員は、前回選挙と比べ12%減少しました。60歳以上の議員は全体の5分の1(102人)です。

 女性の当選者は51人から77人へと50%増加、女性下院議員が全体の15%を占めました。当選した女性のうち43人は初当選です。ベネジタ・ダ・シルバ下議(労働者党)は女性議員の増加を、「各政党が女性枠を拡大した結果だ」と語りました。

 黒人.褐色人の下議も増加しました。下院議会によると、褐色人が104人、黒人が21人当選しています。これまでの議員構成と比べ5%の増加です。今回初めて先住民族の女性も当選しました。パウリスタ州立大学教授で政治科学者のマルコ.アウレリオ・ノゲイラ氏は、「若い世代が政治の世界に入り、女性下議が増加したことは喜ぶべきことだ」と話しています。

児童の飲酒や麻薬使用が8割増= サンパウロ市=

 政党や宗教などの垣根を超えたネットワーク「ノッサ・サンパウロ」がブラジル世論調査・統計機関Ibopeと行った調査「サンパウロで生活する―子供と都市」で、サンパウロ市民の82%が市内でアルコールや麻薬を使用している子供・青少年が過去12カ月間で増加したと考えています。国内メディアの報道です。同調査は8月15日から9月3日に調査、800人が回答しましています。

 調査では、路上で小銭を求める子供・青少年も増えたと感じている人も76%に上っています。このほか、路上で暮らす子供が増えたと答えたのも73%、市内で働く児童が増えたと答えたのも51%を占めました。サンパウロ市民の45%が子供または青少年と一緒に暮らしており、子供のみで生活しているのが26%、青少年のみが11%、子供と青少年のみで暮らしているのが8%でした。

 ノッサ・サンパウロは結果に関して、「サンパウロ市民の多くが、子どもたちにサンパウロ市は居心地の良い場所ではない、と考えている。子どもたちが生活しやすい町にするには、やらなければならないことが沢山あるということだ」と語っています。

トランプ氏、ブラジルを標的

 国内メディアによれば、宣伝・マーケティング大学で多国籍企業観測のコーディネーターを務めるヂエゴ・コエリョ氏が、「ブラジルと北米3カ国(カナダ、米国、メキシコ)との貿易が拡大しており、ドナルド・トランプ大統領はブラジルとインドを貿易交渉の標的にするかもしれない」と指摘しました。

 1~9月のブラジルと北米3カ国との貿易額は527億ドルと前年同時期比で9%拡大しています。この原因は、北米3カ国からのブラジルへの輸入額が前年同時期を15.7%上回る265億ドルに拡大したためです。ブラジルから北米3カ国向の輸出額も昨年同時期比で262億ドルに拡大していますが、その増加率は3.2%と輸入額の増大よりも少量です。

 しかし、コエリョ氏は、米国、メキシコ、カナダが3国が先週、北米自由貿易協定NAFTA)に代わる新たな貿易協定(USMCA)で合意に達しており、「トランプ氏はブラジルと米国との貿易関係について、望むことをやる国で、ビジネスを行うのに最もハードな国の一つだと述べた」と指摘し、「ブラジルがトランプ氏の貿易交渉の相手に組み込まれているというシグナルだ。彼が今後数日の間にこの問題に触れるかどうか、注視する必要がある」と語っています。

 トランプ氏とはどの分野がテーマになるのかについてコエリョ氏は「現時点での予測は難しい。しかし、ブラジルと米国との間の取り引きでは工業製品が主な貿易品であり、常に自動車産業が議論の対象になっている」との認識を示しました。

 コエリョ氏は「ブラジルは保護主義国だ。そして米国は関税障壁について議論したいのだろう。しかし、米国の企業がブラジルで差別されて苦しんでいるという事実はない。それどころか、米国の企業はブラジルが閉鎖的であることで利益を得ている。閉鎖性がブラジル市場で米国企業の競争を減少させているからだ」と指摘しています。

 ブラジルの貿易収支は米国とカナダとは黒字ですが、メキシコとは赤字になっています。今年1~9月で見ると、米国とでは7億5100万ドルの黒字、カナダとは6億8100万ドルの黒字ですが、メキシコとは4億7700万ドルの赤字です。この赤字は主にメキシコからの自動車輸入によるものです。