中南米の最新情報

NPOチャレンジブラジルが、ブラジルを中心に中南米のニュースをお届けします。

トランプ氏、ブラジルを標的

 国内メディアによれば、宣伝・マーケティング大学で多国籍企業観測のコーディネーターを務めるヂエゴ・コエリョ氏が、「ブラジルと北米3カ国(カナダ、米国、メキシコ)との貿易が拡大しており、ドナルド・トランプ大統領はブラジルとインドを貿易交渉の標的にするかもしれない」と指摘しました。

 1~9月のブラジルと北米3カ国との貿易額は527億ドルと前年同時期比で9%拡大しています。この原因は、北米3カ国からのブラジルへの輸入額が前年同時期を15.7%上回る265億ドルに拡大したためです。ブラジルから北米3カ国向の輸出額も昨年同時期比で262億ドルに拡大していますが、その増加率は3.2%と輸入額の増大よりも少量です。

 しかし、コエリョ氏は、米国、メキシコ、カナダが3国が先週、北米自由貿易協定NAFTA)に代わる新たな貿易協定(USMCA)で合意に達しており、「トランプ氏はブラジルと米国との貿易関係について、望むことをやる国で、ビジネスを行うのに最もハードな国の一つだと述べた」と指摘し、「ブラジルがトランプ氏の貿易交渉の相手に組み込まれているというシグナルだ。彼が今後数日の間にこの問題に触れるかどうか、注視する必要がある」と語っています。

 トランプ氏とはどの分野がテーマになるのかについてコエリョ氏は「現時点での予測は難しい。しかし、ブラジルと米国との間の取り引きでは工業製品が主な貿易品であり、常に自動車産業が議論の対象になっている」との認識を示しました。

 コエリョ氏は「ブラジルは保護主義国だ。そして米国は関税障壁について議論したいのだろう。しかし、米国の企業がブラジルで差別されて苦しんでいるという事実はない。それどころか、米国の企業はブラジルが閉鎖的であることで利益を得ている。閉鎖性がブラジル市場で米国企業の競争を減少させているからだ」と指摘しています。

 ブラジルの貿易収支は米国とカナダとは黒字ですが、メキシコとは赤字になっています。今年1~9月で見ると、米国とでは7億5100万ドルの黒字、カナダとは6億8100万ドルの黒字ですが、メキシコとは4億7700万ドルの赤字です。この赤字は主にメキシコからの自動車輸入によるものです。