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緊迫するアジア情勢をブラジルで報道

 ブラジルのメディア4日付が、「中国軍の演習用ミサイルが日本海域(排他的経済水域、約370km沖)に落下するという前代未聞の事態が起きた」と報じました。日本のメディアは、「ナンシー・ペロシ米下院議長の台湾訪問の報復で北京が台湾付近で始めた軍事演習中に起きたもので、発射した弾道ミサイル11発のうち5発が排他的経済水域に落下した」と日米両国の歴史上、前例のないことだと報じています。

 中国政府の台湾付近での演習はペロシ下院議長の台湾訪問に対する中国の反応で、同議長の2日から3日にかけての24時間足らずの旅は、同島を自国の領土と見なす北京を激怒させ、報復を決意させました。中国は同議長が訪台すれば最大の代償を払わせると言明しており、3日には早くも台湾からの果物や魚製品などの輸入を停止し、台湾への天然砂の輸出を停止しました。また、中国の税関は、台湾のビスケットやお菓子の輸出業者35社の輸入を取り消しています。

 こうした中国の報復は、実用的というよりも象徴的なもので、北京から台湾政府への、今後起こりうるかもしれない警告と見なされています。専門家は、「中国政府の台湾に対する圧力は、米国議長の訪問とは関係なく強まる一方だった」と説明しています。台湾政府はこの演習を確認し、中国海軍の艦艇と軍用機が台湾海峡の中央線(両国を隔てる標識)を一時的に越えたこともあったと指摘しています。

 初めて中国のミサイルが日本海域を襲ったことで、日本の岸信夫防衛大臣は「外交ルートを通じて中国に正式な抗議文を送った」と述べました。中国は、「この軍事演習とここ数日台湾周辺で行われた作戦は公平で必要な対応である」と主張し、緊張を激化させている米国とその同盟国を非難しています。また、ペロシ議長の訪日についても「台湾独立を支持する分離主義勢力にひどく間違ったシグナルを送るものだ」と述べました。