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慰安婦像建立報道でカナダ日系社会困惑

 韓国は韓国国内ばかりではなく、米国にも慰安婦像を建立し、米国国内で議論を呼んでいます。そんな折、今度はカナダのブリティシュ・コロンビア州バーナビー市と姉妹都市を結んでいる韓国京畿道華城市(ファソン市)が、バーナビー市に慰安婦少女像を建立するという話が広まり、近隣のバンクーバー地域の日系コロニアが困惑しています。慰安婦像建立は北米の韓国系社会が進めているもので、ブラジルにも韓国系コロニアがあり、慰安婦像建立話がサンパウロにも飛び火するかも知れないと、ブラジル日系社会もコトの成り行きを注目しています。サンパウロ新聞の報道です。
 韓国の新聞は既に建立が本決まりになったと報じていますが、同州のバンクーバー市の邦字紙・バンクーバー新報はバーナビー市のデレク・コリガン市長に直接取材、「慰安婦像建立は未定」と報じています。同紙の津田佐江子編集主幹は、「インターネット上であたかも建立が本決まりになったことが流布されているので、カナダ・バンクーバーでも日系コミュニティが大変困惑、混乱しており、市長に直接取材し質したところ、建立は未定と言明した」と語りました。
 バンクーバー新報によると、バーナビー市と姉妹都市を結んでいるファソン市から「慰安婦問題を忘れないためにバーナビー市セントラルパークの朝鮮戦争戦没者記念碑の近くに慰安婦像を建立したい」との申し入れがありました。コリガン市長はファソン市に対し、提案を検討すると返事をしました。コリガン市長は、「その時は様々な問題があることを知らなかった」 と答え、地元の日系人からコリガン市長に電話がかかってきて初めてこの件が大きな問題を内包していることを知り、「日系コロニアの人々の反応に驚いた」としています。同市長は、米国に建立された同像の建設で社会に大きな議論を引き起こしてい ることを知り、「姉妹都市の要請を受けることも、こうした議論を行うことも我々コミュニティの調和のためのもので、さらなる衝突を引き起こすことは市議会の本意ではない」と説明しました。
 同市では今後、公開での意見交換会などを開く予定はないが、関係者による会議を開いたり、広く人々の声を聞きたいとしています。カナダ日系社会だけでなくブラジル日系社会でも、今後の成り行きを注目しています。
<写真>慰安婦問題を報じるバンクーバー新報=サンパウロ新聞提供=