中南米の最新情報

NPOチャレンジブラジルが、ブラジルを中心に中南米のニュースをお届けします。

歩きやすく安価な木材利用義足

 地元メディアによると、アマゾナス州マナウス市が14日、構造の一部にアマゾン産の木を利用した義足の試作品を披露しました。実用化に成功すれば、従来のカーボンファイバー(炭素繊維)製の義足と比べて低価格な義足が誕生することになります。
 この義足の開発プロジェクトは10年前からアマゾナス州立総合大学が進めてきたもので、原料となる木にはアマゾン産のクマルや紫イペーの木など歩きやすさの観点から弾力性のあるものが採用されています。アマゾン産の材料を利用することで将来商業化した際、アマゾン地域の雇用と利益を創出することも期待されます。
 現在、最新技術で作られた義足として普及しているのはカーボンファイバー製で、1体当たり7000レアル(約32万円)〜1万レアル(約46万円)と高額です。材料の一部に木材を利用すれば、コストを最大90%下げることができます。耐久年数もカーボンファイバー製と同じ約5年を期待できるといいます。まだ試作品の段階で、実用化まではもう少し時間がかかるようです。
 義足を必要としている患者の中で高価なカーボンファイバー製の義足を利用しているのはわずか3%。93%の人は固い素材で作られた義足を利用しています。「このプロジェクトが成功して木を利用した新しい義足が実用化されれば、義足の選択肢が広がって多くの人の生活向上につながるだろう」と研究者は語っています。