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下駄にヒント、「四角いサンダル」開発し成功

 地元メディアによると、セアラー州出身のモイゼス・ジアスさん(54)はバス運転手として過ごしいるとき、目に留まった日本の下駄(げた)の利便性に着目、「四角いサンダル」を開発し、販売しました。これが消費者に受け、現在はブラジル国内靴業界の第一人者にまでなっています。ブラジル・ドリーム実現者の軌跡です。
 ジアスさんはバス運転手だった2011年に交差点で信号待ちをしていて、横断歩道を渡っている女性の足を見て四角いサンダルの発想を得ました。「その女性はビーチサンダルを履いていたが、つま先がサンダルから出ていて地面を踏んでいた」のを見て四角いサンダルなら指がはみ出ることはないと考えたのです。これがジアスさんの人生を変えた瞬間でした。
 帰宅後にアイデアを妻に話しましたが、眉をひそめるだけです。初の試作品をトラックのタイヤ用ゴムで作ったのですが、妻の評価は芳しくありません。それにめげることなくジアスさんは、EVA素材(エチレン酢酸ビニール共重合樹脂)を使用してサンダルの完成度を高めるなど改良を重ね、やっと妻も認めるまでに商品の完成度も高まりました。
 これでジアス氏は本格的な生産を始めようと考えたのですが、生産用の機械を購入する資金がありません。ところが不幸というか幸いというか、ジアスさんはバス会社を解雇され退職金1万2000レアル(約55万円)を手にしたのです。この金で機械と材料を購入し、「クアトロ・カントス」という会社も設立、サンダルの生産を始めました。
 四角サンダルの売れ行きは順調で現在、ジアス氏は150平方メートルの工場も建て6台の機械を所有しています。「2012年半ばには月平均6000レアルを売り上げた。さらに年末には売り上げが増加して9万レアルに達した」と売れ行きは急増しています。
 ジアス氏は事業拡大を目標に掲げ、今後はブラジル北東部や北部にも進出すると意気込んでいます。よきパートナーの奥さんも「花などのデコレーションも入れると可愛いし、付加価値が上がるから収入も良くなる」といった提案をしてくるまでになっています。