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上院議会で汚職は凶悪犯罪と決議

 地元メディアによると、26日のブラジル上院議会で、政治家の汚職は凶悪犯罪と決議され、連邦最高裁判所(STF)は早速、ロンドニア州のナタン・ドナドン下院議員(ブラジル民主運動党=PMDB)を公金横領疑惑で収監を命じました。上院議会が汚職問題を審議している時刻には、サッカーのコンフェデレーションズカップコンフェデ杯)のブラジル対ウルグアイ戦が行われていましたが、議場は満席状態で、この議題に対する議員らの関心の高さがうかがえました。
 最高裁による現役国会議員の即時逮捕の言い渡しは、1970年代にチリのピノチェト大統領に対する侮辱罪でシコ・ピント下院議員の逮捕を命じた一件以来の事です。
 収監されるナタン下議は州議員だった95〜98年に共謀者6人と共にロンドニア州政府の公金840万レアル(約3億8千万円)を広告費と偽って横領した疑いで99年、ロンドニア州裁判所に起訴されました。ナタン下議が国会議員に選出された直後の2002年11月になってやっと起訴が受理されました。
 国会議員には法廷優先権があるため同件は最高裁に持ち込まれ、ナタン下議は10年10月に業務上横領罪及び共謀罪で13年4カ月の実刑判決が言い渡されました。その後、最高裁は12年12月と翌年6月26日に控訴を棄却したため、逮捕を命じたものです。
 議会は、ナタン下議の判決内容が読み上げられた直後に解任手続きを開始し、最高裁の決定を伝えるためにナタン下議の執務室へ伝言を届けましたが、同下議は既にロンドニアへ向けて出発していました。連邦警察とナタン下議は、27日正午までに出頭する約束が交わされていましたが、同下議はこれを守らず、現在連邦警察が行方を追っています。
 連邦公訴局(PGR)のロベルト・グルジェル局長は、今回の最高裁の決定はメンサロン事件の判決に影響するとしています。同局長は裁判開始当初からメンサロン事件の首謀者の即時逮捕を主張していました。
(注)メンサロン事件
 2005年、政府が議会の支持を取り付けようと政府広報費を横領、野党議員を買収したとされる事件。当時のジルセウ文官長、グシケン広報庁長官、、クーニャ下院議長らが責任を取り辞任しています。2012年に開始された公判で、グシケン長官は無罪でしたが、ジルセウ文官長らは有罪になりました。