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東洋街のニッケイパレスホテルを日系一世が買収

 リベルダーデ文化福祉協会会長を務める池崎博文氏が今年に入り、サンパウロ市リベルダーデ区(通称東洋街)のニッケイパレスホテル(上野リカルド社長)を買収したことが明らかになりました。池崎氏はサンパウロ新聞の取材に、買収は「日系社会の原点であるリベルダーデのシンボルとも呼べるホテルを外国人の手には渡せない」という強い思いからと説明しました。
 池崎氏は約半世紀前にリベルダーデ区で起業し、サンパウロ市を中心に5店舗を持つ美容・化粧品専門店「池崎商会」の取締役を務めています。熊本県出身の85歳で、今なお現役の1世。
 ニッケイパレスホテルは81年創業(連邦下院議員だった上野アントニオ氏)で、リベルダーデの目抜き通りであるガルボン・ブエノ街に面し、上野家が所有していました。同ホテルは、ニッケイの名を冠す通り日本語で対応できるスタッフが常駐し、NHKも視聴可能で、主要顧客の日本人・日系人向けサービスが充実しているのが特徴でした。最近になって宿泊客が減少し、一時は中国系資本への身売りも話題になっていました。
 池崎氏は、「ここを中国人などに買われてしまっては、日系社会がシンボルを失ってしまう。日本人がリベルダーデに来て、まるで日系人の存在が分からないようになってしまってはいけない」と買収を決意したものです。池崎氏は既に買収を行ったということ以外、具体的な買収の時期や金額については明らかにしていません。「税金や従業員の雇用問題など、クリアすべき問題がたくさんあった」と語っており、明らかに出来ないこともあるようです。
 池崎氏が実際に経営を始めるのは5月からで、今後の同ホテルの展望については、「既に地上階から8階までのホテルフロアは改築済み。残る9階とレストランの改築にまずは力を注ぎたい」としています。詳細な計画については、3カ月後をめどに発表される予定です。
 池崎氏は「私は素人なのであまり詳しいことは分からない。本当に自信が無い」と弱気な一面を見せる反面、「生きている間は私も頑張りたい。そして、ホテルの建て直しには日系社会の皆さんの助けが必要不可欠だ。是非利用してほしいし、知恵もお貸しいただきたい」と語りました。