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デカセギが養育費未払いでトンズラ

 ブラジルに子どもを残したまま日本へデカセギに行き、養育費を送金せず、知らんぷりを決め込む男が多くなり、社会問題化しつつあります。ブラジルに残った留守家族が訴訟を起こしても日本とブラジル間には司法協定がないため、解決は難しいとか。
 地元のオ・エスタード紙がこの問題を取り上げ報じたところによると、Mさんの夫は15年前に単身で日本へ行き、Mさんは当時8歳と9歳になる2人の子どもが残されました。日本へ行き4年経ったころから夫からの便りが減り、送金も途絶えがちとなり、今では「完全に消息が消えてしまった」といいます。彼女は養育費の支払い請求と離婚訴訟のため夫を探していますが、遠く離れた日本で音信不通となった人の行方を突き止めるのは雲をつかむような話。彼女と同じケースに苦しむ留守家族が少なくとも国内に300家族はおり、社会問題化しています。上院外交委員会の公聴会で、ミナス州のある判事がこの問題を取り上げたほどです。
 ブラジルでの養育費未払い訴訟では、扶養義務を怠たったとして実刑判決も珍しくありませんが、日本にいるデカセギは、日本とブラジル間に司法共助協定がないため何の法的拘束を受けません。留守家族がブラジルで訴訟を起こし、被告呼び出しの法廷嘱託書や訴状を日本に発送したところで、「住所不明」で届かないケースがほとんどといいます。
 出稼ぎ者が最も多いサンパウロ州では、こうした地裁嘱託書の発送件数が年間2500〜3000件に達し、その半数が養育費の未払いに関するものだそうです。残りは離婚や子どもの認知訴訟といわれます。
 デカセギたちは職を求めて日本国内を転々としていることが多く、それでも2割程度は本人に届きます。しかし、彼らは受け取ったとしても無視を決め込み、何の解決にもなっていないのが現状です。
 留守家族が日本で養育費未払い訴訟を起こすことも可能ですが、費用や時間を考えれば不可能といえましょう。日本がブラジルと司法共助協定を結べば、こうしたことは一挙に解決に向かうとされており、何らかの対策を講じる必要がありそうです。