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国民の生活水準、上昇気流

 地元フォーリャ・デ・サンパウロ紙が、ブラジルの国民生活などの現状を分析、アメリカの1950年代に相当すると報じています。1946年、アメリカの地理統計学者が「半世紀後のブラジルは、木になった果実を収穫するだけで、新たに木を植えるという余裕はないだろう」と予測しました。その数年後、ブラジルを訪問した当時の米国務長官が、「チャンスに満ち溢れ、第2の米国となる可能性を秘めている」と評しました。それから半世紀以上が過ぎた現在、ブラジル国民生活は大きく改善し、アメリカの1950年代にまで上昇してきたわけで、半世紀前の学者の予測がいよいよ現実味を帯びてきたことになります。ブラジル国民1人あたりの国内総生産(GDP)、平均寿命、テレビやラジオの普及率、車両所有率、高校卒業率などを見ると、それぞれアメリカの40〜70年代の水準にあり、平均すると50年代に相当するのだそうです。
 アメリカの50年代は経済が大きく発展し、「ミドルクラス」とされる中間所得層が大幅に拡大、空港を含む国内インフラの整備も進んだ時期です。今のブラジルは、GDP総額が世界10位(08年)、最近はC、Dクラスの購買力が高まり、自動車生産台数も世界6位になりました。国民1人あたりのGDPは5640ドル。アメリカでいうと、世界恐慌から回復するため政府が経済に積極介入した「ニューディール政策」の30年代にあたります。両国の車両(二・四輪、大型含む)所有率は、ブラジルは1人につき0.29台、米国は1人につき0.83台(00年)の割合で、ブラジルは新車生産台数では世界6位という反面、所有率ではメキシコやアルゼンチンにも劣り、アメリカでいうと40年代の水準です。
 ブラジルの平均寿命は現在72.9歳、アメリカの1975年(72.6歳)のレベルです。ただし40年代と比較すると、アメリカは65.7歳だったのに対しブラジルは45.5歳でした。ブラジルでは急激な長寿化が進んでいることが分かります。
 ブラジルの一般家庭のテレビ、ラジオ、電話の普及率は、70年代以降テレビ文化が発達し普及率は96.4%で、、今や一家に一台となりました。70年代のアメリカのテレビ普及率は96.7%ですから、それと同水準ということになります。なお、ラジオは87.9%、固定電話は82.1%の普及率です。