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ブラジルは経済躍進の人こうん 理想形に突入

 横文字紙のオ・エスタード紙が紹介した2010年の人口動態によると、ブラジルは21世紀に入ってから急速に少子高齢化が進んだため、1国に1度と言われる「人口ボーナス」期を迎えているそうです。人口ボーナスとは、ある国の人口構造において生産年齢(15歳から64歳)の人口比率が、非生産年齢(14歳以下の子どもと65歳以上の高齢者)人口を大きく上回り、労働力が豊富な状態をいい、現役世代にとっては、扶養すべき人口が少なく、経済が発展しやすい状態を指します。
 ブラジルは70年代後半から出生数が激減し、近年さらに乳幼児、成人ともに死亡率が急低下したことで、多産多死社会から少産少死社会へと移行する人口転換が起きています。今年、「従属人口」とも呼ばれる非生産人口の比率は総人口の32.4%で、67.6%を占める生産人口のちょうど半分。この指数が低いほど現役世代への負担は少なく、現在はちょうど成人1人につき2人を扶養している計算になります。
 1950〜1960年代の日本でも同じ現象が起きました。ブラジルの現在(50%)をさらに下回る40%台を維持し続け、ベビーブームの団塊世代が社会に出た頃、若くて豊富な労働力が高度経済成長の大きな要因となったのです。この「人口ボーナス」現象は一回性のもので、数十年経つと、かつて成長の原動力となった世代は高齢者となり、少子化の進行により現役世代の比率が落ちます。現在の日本や先進諸国が辿っている道といえましょう。
 「チャンスの窓は一度きり」と国立地理統計院のアルベス教授。伯国が人口ボーナスのピークを迎えるのは10年後。ますますの少子高齢化で、2020年には生産年齢人口の比率は70.4%に達する見通しです。飛躍的な経済発展を今後の10年に期待するのもいいが、「窓が開いているうちに、立ち遅れている教育や医療などの福祉分野を整備すべき」と学識者らは揃って警鐘を鳴らしています。