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BRICs内部で経済摩擦

 7月の主要7カ国(G7)サミットを前にBRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国)の首脳会合が開かれましたが、各国間の経済競争や政治体制の違いなどが障害となり、不協和音が目立ちました。
 首脳会合は16日に開かれ、国際金融機関の改革や新機軸通貨構想を打ち上げました。しかし、団結して国際社会での発言力を強めるには、経済力格差がつき始めたことや政治体制が邪魔をし、足並みが揃いませんでした。
 BRICs4カ国の国内総生産(GDP)を見ると、中国が4兆4000億ドル、ブラジルが1兆6000億ドル、ロシアが1兆7000億ドル、インドが1兆2000億ドルで、中国が突出しています。この不況下でも中国は6.1%(第一・四半期)の成長率を記録するなど、他の3カ国に差を付け、差は開きつつあります。こうした状況から中国と他の3カ国間では貿易摩擦も深刻化して来ました。
 最近になってブラジルとインドは中国製品への輸入規制措置を取り始め、それに対して中国が世界貿易機関WTO)に提訴するという事態も起き、ロシアと中国間でも軍事産業関連の摩擦が起きています。こうしたことから4カ国の結束はなかなか難しいと見る経済アナリストも少なくないようです。
 ブラジルとロシアが声高に主張していた新基軸通貨に関しても、米国債が多い中国とインドはドル崩壊への警戒感が強く、導入に積極的ではありません。4カ国間のこうした不協和音の原因は政治体制の違いや財政基盤の脆弱さにあるとの見方が強く、国際社会には「BRICsはまだ二軍」との声が強いようです。