中南米の最新情報

NPOチャレンジブラジルが、ブラジルを中心に中南米のニュースをお届けします。

国外旅行支出大幅増

 国内メディアによると、ブラジル人の旅行支出が7月は大きく膨らみました。7月の旅行支出額は18億7900万ドルで前年同月を37.96%、前月を24.44%それぞれ上回り、7月としてはここ3年間で最大になりました。ブラジル中央銀行が発表したものです。

 支出増加の理由には、学校の長期休暇という季節要因以外にドルの下落が影響しています。ブラジル通貨のレアルに対しドルは、今年7月5.87%も下がっています。これは1カ月間の下げ率としてはここ1年で最大です。

 7月の支出増大を受け、今年の累計支出額は前年同期比35.34%増の106億8400万ドルでした。今年7月の外国人旅行者によるブラジル国内での支出額は4億4000万ドルで、16年7月に比べて5.58%減少しました。外国人旅行者の国内支出額は今年1~7月累計で35億ドル、昨年同時期は36億ドルでした。

消費者の過半数が節約志向

 地元メディアによると、クレジット保護サービスと全国商店経営者連合の調査で、消費者の過半数が8月は節約したいと考えていることが分かりまた。節約したい理由には価格の上昇(19%)、失業中(18%)、借金(14%)、家庭の困窮(14%)、収入減少(9%)などが上げられました。これ以外に、節約のための不断の努力(24%)、貯蓄のため(11%)という人も少なくありませんでした。

 消費者が8月中に購入しようと考えていのは薬(24%)、衣類・履物・装飾品(19%)、プリペイド携帯電話のクレジット(19%)、香水・化粧品(14%)などです。同調査では、今年7月に収支が黒字だった消費者はわずか17%だったことも分かりました。

 今年6月にクレジットカードを使ったとする消費者のうち、利用額を減少させたのは23%で、30%の人は前月の水準を維持し、42%の人は利用額が前の月を上回りました。今年6月のクレジットカード利用額は平均977レアル(約3万4000円)でした。クレジットカードで購入した品物は、スーパーマーケットの扱い品を挙げた消費者が66%と最も多く、薬や薬局の扱い品(56%)、衣類・履物・装飾品(36%)、燃料(35%)、飲食店での支出(31%)という回答でした。

毎日約3人が交通事故死=サンパウロ市内=

 地元メディアによると、2017年1~7月間にサンパウロ市内で522人が交通事故死しました。毎日2.6人が交通事故で亡くなっている計算です。サンパウロ州政府の調べで分かりました。サンパウロ州交通事故情報管理システムによると、同市内では歩行者と2輪車(オートバイ、自転車)搭乗者の死亡数が増加しています。

 歩行中に車にはねられて亡くなった人は248人。また自転車搭乗時に交通事故で亡くなった人は23人で、歩行中に亡くなった人の10分の1未満です。しかし昨年同期比で見ると、自転車搭乗時の死亡は64%増と著しい増加ぶりです。オートバイ運転、もしくは同乗中に亡くなった人は、今年7月だけで31人、1~7月の累計では昨年同期比10%増の189人に上っています。

バス・クレーム最多は「遅すぎる」

 サンパウロ市内の路線バスの運行を管理するサンパウロ市交通公社が、2017年上半期(1~6月)に利用者らから寄せられたクレームの内容を発表し、最も多かったのは「バスが遅れる」というクレームでした。国内メディアが報道しています。「待っているバスの来るのが遅すぎる」というクレームは4747件で、同公社へ寄せられたクレーム全体(1万7858件)の26.6%でした。

 15年と16年の上半期のクレーム第1位は「乗りたい、降りたい」という意思を示しているのに「運転手が受け付けない」というものでした。その苦情の数は15年6161件(クレーム全体の26.0%)、16年5380件(同23.2%)、そして17年は4027件(同22.6%、2位)と年々減少しています。ちなみに「来るのが遅すぎる」というクレームは15年は3653件、16年は5155件で、両年とも2位でした。なお、クレームの第3位は「市民への敬意を欠いた応対」(2032件)でした。

各地に牛泥棒が横行

 国内各地域で牛の盗難が頻発し、牧畜業者に大きな脅威になっています。地元メディアはゴイアス、ミナス・ジェライス、リオグランデ・ド・スル(南大河)各州の被害状況を次のように報じています。

 牧畜が盛んなリオグランデ・ド・スル州農業連盟によれば、同州内で昨年盗まれた牛は8700頭に上り、約7000万レアルの損失を被っています。農業連盟のデータでは、15年および16年に同州10市で3358件の盗難事件が記録され、そのうち司法へ告発したのは198件(5.8%)に止まっています。

 12ヘクタールの農場を所有する男性(78)は、「牛の盗難事件には警察は熱心に取り組まず、生産農家からは苦情も出ている」と話しています。これに警察は「この種の農村犯罪を捜査する部門がない」と逃げ腰です。

 しかし、警察は泥棒を黙認しているわけではなく、今月上旬、リオグランデ・ド・スル州南部で牛泥棒を専門に行っていた14人のグループを逮捕しました。調べで14人は、約1500頭に及ぶ牛盗難事件に関与していました。盗んだ牛は肉に加工し、市内の精肉店や軽食店、レストランに販売していました。

 ミナス・ジェライス州の牧畜地帯では、今年だけで牛の盗難事件が109件起きています。平均で2日に1カ所が襲われている勘定です。被害に遭った農場の一つは「武装した強盗が押し入り、屠畜の準備ができていた17頭の牛を盗んでいった。農場の管理人は縛られて、12時間も身動きできなでいた」と手口を語っています。この農場はこれで3度目の強盗被害で、今回だけでも約3万レアルの損害が出ました。

 ゴイアス州では、昨年12月に牛泥棒に襲われ、66頭(12万レアル相当)の牛が盗まれました。これで警察は農村犯罪に対応する専門部署を設置し、現在までに窃盗や盗難の容疑で40人を逮捕しています。

虚偽データで選手助成金不正受給

 地元メディアによると、連邦警察は18日、優秀なスポーツ選手を支援する国の助成金が詐取された疑いがあると捜査していた結果を発表しました。スポーツ省は、「2012年に国家総監督庁の勧告により行われた監査の時、不正と思われる支払いがあり、疑いのある支払いを停止すると同時に警察に通報、警察は捜査を始めていた」としています。

 詐取の手口は、業務委託された職員が助成金の支給対象者リストに存在しない選手のデータを入力し、不正に銀行から支払いを受け取る方法。警察は今回の捜査で、容疑者が助成金を詐取するためスポーツ省のシステムに選手の偽データを挿入していた証拠を見つけたと発表しています。調べでは、詐欺グループは1年の間に25人の存在しない選手を作り上げ、中には五輪レベルとした架空選手の名前もありました。詐取された金額は100万レアル以上と見られます。疑われた職員は既に退職しています。

 助成金制度は、選手がトレーニングや競技に専念出来るよう創設された制度で、入力されたデータにより連邦貯蓄銀行から支給されています。スポーツ省によると、05年以来2万3000人のスポーツ選手が助成金の恩恵を受けています。16年のリオ五輪ではオリンピック選手団の77%、パラリンピック選手団の91%が助成金の受給者でした。五輪でブラジルが獲得した19個のメダルのうち18個、パラリンピックの72個のメダルは、こうした選手が獲得したものでした。

バスターミナルを民営化=サンパウロ=

 地元メディアによると、サンパウロ州のジェラルド・アルキミン知事は16日、同州メトロ公社が運行する地下鉄1号線と3号線に接続する15のバスターミナルの運営を40年間、公開競争入札方式で民間企業に任せると発表しました。入札の公告は既に行われ、落札企業は9月にも判明する予定です。

 州政府の予測では、バスターミナルの運営を民間に任せることでメトロ公社は年間2700万レアル(約9億4500万円)の収入を得るとしています。知事は「メトロ公社はバスターミナルの維持に2400万レアルの赤字を出しているが、民間に任せることで、逆に2700万レアルの収入を得ることになる」と指摘しています。

 バスターミナル民営化では、サンパウロ市のジョアン・ドリア市長も15日、「24のバスターミナルの運営を30年間、競争入札方式で民営化する」と発表しています。同市は、バスターミナルの上にビルを建て商業施設や住居、大学などとして利用することが可能と述べています。

刑務所内から指示されていた車両窃盗グループを摘発

 地元メディアによると、マット・グロッソ州文民警察は17日、同州とマット・グロッソ・ド・スル、パラー、ロンドニア各州で車両窃盗に関わったとみられるグループの捜査を行い、50人を拘束、盗まれた車両の9割を取り戻しました。捜査では勾留令状51件、強制連行令状12件、押収令状62件が発行され、約200人の警察官を動員されました。

 警察は、マット・グロッソ州内の刑務所に収監中の犯罪組織メンバー4人がリーダーで、刑務所内から外部の実行者に指示していたと見ています。警察はとりあえず682件の車両窃盗について捜査しましたが、この窃盗グループは約410件に関わっていました。

 捜査の過程で、同州内の刑務所内から実行犯に指令を出すネットワークの存在が浮かび上がり、これはロンドニア、サンタ・カタリーナ、リオ・グランデ・ド・ノルテ、アマゾナスを跨ぐ大がかりな犯罪ネットワークであることが明らかになりつつあります。捜査では、窃盗グループの車両窃盗やその引渡し、口座開設や送金、引き出しの金融操作、盗難車両の販売やプレート複製など具体的な行動を監視し,犯罪事実を掴んで今回の一斉摘発になりました。

 窃盗実行者は3~4人組で、偽造プレートの自動車で町中を走りながら、リーダーが指定した色、形に近い車両を探し盗んでいました。また予防意識に欠けた車両所有者を見つけるとその車の特徴を上位の人間に連絡、興味を示せば盗んでいました。

連邦大学が資金不足で四苦八苦

 地元メディアによると、連邦大学の中に資金不足と連邦政府による補助金削減の影響で、大学食堂のメニュー削減、運営資金不足、支払い遅延など追い込まれています。全国連邦高等教育機関管理者協会の調べによるものです。

 同協会は、「今年度の大学への補助金額では電気代や警備費、清掃費、低所得家庭の学生への奨学金、設備メンテナンスといった通常費用の支払いにも不足している」と指摘し、「補助金額が増額されなければ、大学を維持できるのは9月までだ」と述べています。

 パラー連邦大学(UFPA)の学長でもあるトウリーニョ同協会会長は、「連邦大学の予算をただちに再考するべきだ。連邦大学はブラジル社会にとって最も価値があり、その価値ある財産が危険にさらされている」と訴えています。

 教育省は先ごろ、連邦大学や連邦教育機関への予算額を5%引き上げると発表しました。これで教育機関の維持に使用される補助金の限度額が75%に増え、設備購入などに使用する資金も45%にアップしました。しかし同協会は、「5%程度のアップでは9月までの保証しかできない。2018年度の資金の見通しや補助金については、目前のことに追われ論議するどころではない」と、窮状は変わらないとしています。

 大学側の訴えについて教育省は、「年末までに補助金を増額していく。増額は今後数カ月間で徐々に行い、連邦大学は十分に維持出来る」としています。

大気汚染での死亡推計、年1万人以上

 非営利組織「健康・持続可能性研究所」が14日発表したところでは、2015年度にサンパウロ州民1万1200人が大気中の汚染物質の影響で早期死亡したと推計しています。これは交通事故(7867人)、乳がん(3620人)の各死亡者数を上回っています。地元メディアが報じました。

 この調査は国際環境NGO(非政府組織)グリーンピースの要請を受け、同研究所がサンパウロ州環境公社の空気質報告書に基づいて行いました。調査では、15年にはサンパウロ市内だけでディーゼル燃料バスが排出した汚染物質の影響で3000人以上が死亡したと推計しています。同研究所は「バスの燃料が他の再生可能な燃料に置き換えられなければ、50年には死亡者が7000人に達する」と警告しています。

 サンパウロ大学医学部大気汚染研究所のパウラ・サルジバ主任は、「サンパウロ市内の交通頻繁な場所に2時間いれば、車両が撒き散らす汚染物質で1本のタバコを吸うのと同程度の影響がある」と話しています。