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ブラジル・米国関係でキッシンジャー氏が担った役割

 ヘンリー・キッシンジャー元米国務長官が29日、100歳で亡くなりました。30日付けのブラジルのメディアは、キッシンジャー氏は南米諸国の独裁政権を支持し、ブラジルをアメリカの同盟国に変えるために働いたと報じています。同記事で、1974年に当時のCIA長官が起草しキッシンジャー氏に送ったメモにエルネスト・ガイゼル大統領が在任中に反対派の処刑をするのを承認したとある、と記しています。

 2018年に米国政府によって公開された文書の中でこのメモに触れており、そこには「ブラジルはテロリストと破壊活動の脅威を無視することはできないとし、危険な破壊活動に対しては超法規的手段を引き続き採用すべきだと述べている、とあります。文書によると、処刑はフィゲイレド将軍によって承認され、フィゲイレド氏はガイゼル大統領の後を継いで大統領に就任しています。

 1976年2月、ブラジル大統領府で行われたキッシンジャー氏、ガイゼル大統領、その他の政府関係者との会談で、ガイゼル大統領は「再民主化のプロセスはすぐにはできない」と述べ、キッシンジャー氏は「アメリカ合州国から圧力を受けることはない」と答えたとされています。

 報道では、キッシンジャー氏は「リアルポリティク」の実践者で、理想ではなく、実質的な目標達成に重点を置いた外交姿勢だったと記し、この姿勢はしばしば強制的で不道徳であると見なされると批判されていたとしています。

 また、1970年代、キッシンジャー氏は「ブラジルはラテンアメリカにおける米国の政策の柱の一つであり、ブラジル政府を支援することは国家間の同盟を維持するために重要である」と主張、ブラジルの核開発計画を支持し、議会、国務省、米国軍備管理軍縮局の高官に反対しました。彼は「ブラジルの原子力産業を育成することはアメリカ企業の経済的利益になる」と指摘したとも報じています。